
「これ、バスなの? それとも……?」そんな疑問が浮かぶ未来的なEVが香川にやってきました。
8月24日、高松市でトヨタの次世代モビリティ「e-Palette(イーパレット)」が香川県で初公開。人を運ぶだけでなく、店舗やオフィス、医療などにも活用できるというこの車、あなたなら何に使いますか?
「これ、何に使う車なんだろう?」
初めて実車を見た人なら、そんな疑問を持つかもしれません。大きな窓と広い車内、そして一般的なバスとは少し違う未来的なキューブのようなスタイル…。
8月24日、高松市伏石町で、トヨタの次世代モビリティ「e-Palette(イーパレット)」の展示・デモ走行・試乗会が開催されました。
トヨタカローラ香川が香川県で初めて公開したもので、会場には自治体や企業関係者なども訪れ、実際の車両を見ながら新しいモビリティの可能性を探りました。
今回紹介されたe-Palette(イーパレット)は、単に「新しいEVバス」という位置づけではありません。トヨタが掲げるのは、さまざまなモビリティサービスに活用できるバッテリーEV。人を移動させるだけでなく、時間帯や地域のニーズに応じて、その役割そのものを変えていくことが想定されています。
朝はバス、昼は移動オフィス? 使い方を決めないモビリティ

展示車両を見てまず目を引くのが、大きな窓と開放的な車内です。一般的な乗用車とはもちろん、従来のバスとも少し違う独特のつくりで、「この空間を何に使うか」という発想を広げられるのがe-Palette(イーパレット)の特徴です。
※全長4,950mm、全幅2,080mm、全高2,650mm / 乗車定員17人


囲み取材でトヨタカローラ香川のe-Palette担当・森口さんに話を聞くと、想定されている用途として、朝夕の通勤・通学バス、日中の移動オフィス、スイーツや花屋などの移動販売、さらには医療機器などを載せた「移動する診療所」といったアイデアが挙げられました。

つまり、最初から「バスとして使う」と決められた車ではありません。時間帯によって用途を変えたり、地域の課題に合わせて車内の使い方を考えたりすることで、1台の車両をさまざまなサービスに活用することができます。
トヨタ側も、e-Palette(イーパレット)について「人を運ぶ」だけではなく、「人とモノ、そして心を運ぶ」というコンセプトを説明。実際に商業施設などで移動販売や店舗と組み合わせた活用も想定されているそうで、これまでの「車はこう使うもの」という常識から一歩踏み出したモビリティと言えそうです。
実際に街を走ると、注目度満点!

実際に試乗させてもらったのですが、EVなのでとにかく静か。そして、大きな窓の開放感といったら、まるでオープンエアーのようです。車椅子もそのまま乗車できるそうで、さらに車椅子からの眺めも良くて好評だったんだそう。
さらに注目度も満点! 沿道の人や、すれ違う車からめっちゃ見られました。

展示会の前日に行われたあるイベントでは、高松市内で実際にe-Palette(イーパレット)を走行させたそうですが、その際にも興味深い反応があったといいます。
特に目立ったのが子どもたち。大きな窓から車内を見渡せる開放感に加え、特徴的な車体デザインそのものにも興味を示していたそうです。確かに、街中を走っている姿を見れば、普通のバスとは違う存在感に思わず目を向けてしまいそうです。
そして、e-Palette(イーパレット)は実用性だけでなく、街の景色そのものを変える可能性もあります。
森口さんは「その場所にあるだけで、周りの景色すら変わって見える」と話し、香川には美しい場所がたくさんあるだけに、e-Paletteを通じて香川をもっと元気にしていきたいという期待を語りました。
瀬戸内の海を眺めながら走る観光シャトル、観光地を巡る移動ラウンジ、イベント会場を回る期間限定ショップなど、考え始めると使い方はいくらでも出てきますよね。
今後は自動運転も視野に入れる次世代モビリティ

未来のモビリティということで、自動運転をイメージする人も多いと思いますが、今回展示された車両は今のところ手動運転です。
取材時にもその点について説明があり、将来的(2028年度を目標)には自動運転レベル4を目指しているものの、現時点で今回の車両に自動運転機能が実装されているわけではありません。
自動運転が実用化されれば、e-Palette(イーパレット)の使い方はさらに広がる可能性があります。運転手不足や公共交通の維持といった地域課題を考えるうえでも、今後どのように技術が進化していくのか注目したいところです。
「何に使うか」を地域と一緒に考える

今回の展示会で興味深かったのは、e-Palette(イーパレット)が「完成された答え」として持ち込まれているのではなく、「この車で何ができるのかを一緒に考えてほしい」という姿勢だったことです。
これまでの車は、基本的に用途が決まっていました。乗用車なら人を乗せる、トラックなら荷物を運ぶ、バスなら人をまとめて運ぶ。しかしe-Paletteは、地域や事業者が必要とするものに合わせて、その役割を変えていくことを前提にしています。
香川で公共交通が課題になっている地域なら移動手段として、観光地なら観光コンテンツとして、商店が少ない地域なら移動店舗として。イベントなら期間限定のショップや休憩スペースとして使うこともできるでしょう。
そう考えると、e-Palette(イーパレット)の価値は車両そのものだけではなく、「この車を使って地域で何をしようか」と考えるきっかけを生み出すことにあるのかもしれません。
もし、この車が香川の街を自由に使える1台としてやってきたら、あなたなら何に使いますか?
「高齢者の買い物バスにしたい」「讃岐うどん店を巡る観光バスにしたい」「海辺でカフェを開きたい」「地下アイドルの移動ステージにしたい」など、考えれば考えるほどいろいろなアイデアが浮かんできます。
もしかすると、e-Palette(イーパレット)の本当の面白さは、車を見た瞬間に「すごい」と思わせることではなく、「これ、何に使えるんだろう?」と、その先を想像させることなのかもしれませんね。
ちなみに今回展示された車両は1台3700万円。お問合せはトヨタカローラ香川まで。
