
2021年の東京オリンピックで話題になったドローンショー。「見たことはあるけど、実際どうやってやっているのかはよく知らない」という人も多いのではないでしょうか。
私自身も、香川でもドローンショーのイベントやってくれないかな… なんて密かに期待しているのですが、今回ある人のご紹介で香川でドローンショーに挑戦する事業所さんがあると聞き、さっそくお話を伺って来ました。
高松市上福岡町にある、株式会社ドローンショープラスさん。
※社長の木村さん(中央)と、スタッフの皆さん
話を聞いてみると、華やかなイメージとは少し違う、かなり現実的で地道なプロセスが見えてきました。ドローンショーに携わる最先端の人たちの思いや苦労、そして何より、新しい事に挑戦する活気を感じて来たので、ぜひご覧ください!
香川の夜空に、新しい景色を!ドローンショーとは

イメージでは知っている人も多いと思いますが、まずはドローンショーについて簡単に説明すると、たくさんの小型ドローンを同時に飛ばして、夜空に光の演出をつくるエンターテインメントです。
それぞれのドローンにはLEDライトが付いていて、位置や動きをコンピューターで細かく制御することで、文字やイラスト、アニメーションのような表現ができます。花火のように“打ち上げて終わり”ではなく、空中で形を変えながらストーリー性のある演出ができるのが特徴です。

操作は手動ではなく、事前にプログラムされたデータをもとに一斉に飛行します。数百機、多い場合は数千機規模で動くため、人が1機ずつ操作するのではなく、全体をシステムで管理して動かす仕組みになっています。
最近では海外を中心に広がっていて、日本でもイベントやテーマパークなどで導入が進みつつあります。音楽と組み合わせたり、企業ロゴやメッセージを空に描いたりと、従来の花火とは違った見せ方ができる新しい演出として注目されています。
今回取材させていただいた木村さんも、ドローンショーに魅せられたひとり。元々は電気通信設備や情報通信ネットワークなどの工事を行う会社を経営されている社長さんが、なぜドローンショーなのか?
まずはその辺りからお聞きしてみたいと思います。
「面白いことをやりたい」それが原動力。でも「やろう」と思った瞬間、立ちはだかった5000万円という壁

「きっかけは東京オリンピックです。最初は正直、何をやってるのか分からなかったんですけど、なんかすごいなって思って。」
そう話すのが、今回のプロジェクトの中心人物である木村さん。ドローンショーが気になって、とりあえず調べたところからすべてが始まったといいます。調べていく中で、何百機ものドローンがコンピューター制御で動いていることを知り、「面白そうやな」と感じたことが、事業化への第一歩になったそうです。
このあたりは少し意外で、最初から明確なビジネスとして見ていたわけではなく、「興味」や「面白そう」という感覚が出発点になっている点。結果的に大きな投資を伴う事業になっていくのですが、入口はかなりシンプルです。
ただ、実際に「やろう」となると話は別です。
木村さん「やってみようと思ったら、5000万円くらいかかるって分かって。はじめは“これは無理かな”って思いました。」
いきなり5000万円! いや、それはくじける…
やはり機材費を中心に、初期投資は相当な規模になります。一度は断念もよぎったそうですが、転機になったのが取引先の銀行さんとの会話だったそう。
木村さん「相談したら、補助金とか助成金の制度があるって教えてもらって。“使えるものは使ったらいい”って。」
何か新規事業を始めるとなると、まずは自己資金でなんとかするという発想になりがちですが、制度や外部の仕組みを組み合わせながら進めていくという方法もあるんですね。特に今回のように設備投資が大きい分野では、その重要性はかなり高そうです。
資金の目処が立ったことで、実際にドローンを導入。ただし、ここからすぐにショーができるわけではありません。
木村さん「ドローンショーって、技術だけじゃ無理なんです。営業もいるし、SNS発信などの広報も必要で…」
話を聞いていて印象的だったのがこの点でした。ドローンというとどうしても“技術の話”に見えますが、実際にはイベント企画や営業、広報まで含めた総合的なプロジェクトなのです。決してひとりではできない。
そのため、体制も一社完結ではなく、これまでの仕事で関わりのあった人たちに声をかけながら、役割ごとに分担して進めているといいます。会社の枠を超えたチームで動いている形です。
こういう進め方は最近よく聞く形ではありますが、こういった大きめの事業でも同じように機能しているのは興味深いところでした。
ドローンテスト飛行の様子。技術者だけでなくさまざまな人が参加されたそう。

ただ心配なのは、いきなり5000万円も投資して、人も集めて、事業として勝算はあるのだろうかという事。かなり注目されているエンターテインメントではありますが、他社との競争もあるだろうし、ドローンショーを行えるイベント等もそれほど多くないような気がします。
木村さん「中四国でドローンショーやってる会社は、今のところほぼないんですよ。」
全国的には少しずつ広がっている印象がありましたが、エリア単位で見るとまだ空白があるようです。いわゆる“ブルーオーシャン”に近い状態と言えそうです。
ただ同時に、誰もやっていないということは、それなりに参入ハードルがあるということでもあります。実際に話を聞いていると、資金面だけでなく、安全管理や運用ノウハウなど、簡単ではない要素がいくつもあることが分かります。

イベント等でドローンショーを行うとして、気になる費用についても率直に聞いてみました。
木村さん「それ、よく聞かれるんですよね~(笑)。目安で言うと、1機あたり2万円くらいです。500機なら1000万円くらいですね。」
単純に考えると大きな金額ですが、話の中では「花火とは別物」というニュアンスもありました。ドローンショーは文字やロゴを表示できるなど、演出の自由度が高く、イベントや企業PRと組み合わせやすいのが特徴とのことです。ちなみによくある花火大会だと、規模にもよりますが数千万円から億越えらしいです。
そのため、単なる“演出費”というよりも、“企画全体の中でどう活用するか”という考え方が必要になりそうです。このあたりは、従来の花火大会とは少し違う視点だと感じました。

もう一つ意外だったのが、現時点の進捗です。
木村さん「実はまだ1回も本番はやってないんです。テストで飛ばした段階ですね(笑)」
えっ、そうなんっすか?(笑)
会社自体はすでに立ち上がっており、機材も導入済みですが、一般向けのショーはこれから。いわば“立ち上げ途中”のフェーズです。
それでもテレビで取り上げられたことをきっかけに、問い合わせは増えているそうで、「いくらくらいかかるのか?」という相談が多いとのことでした。
最後に、なぜここまでして新しいことに挑戦するのかを聞いてみました。
「やっぱり面白いことしたい、ですね。同じことやってたら衰退すると思うので。」
シンプルですが、ここまでの話を聞いた後だと、かなり重みのある言葉に感じられました。もともと電気設備の事業を長く続ける中でも、新しい取り組みを重ねてきた延長線上に、今回のドローンショーがあるそうです。
華やかなイメージのあるドローンショーですが、その裏側は資金調達や体制づくり、地道な準備の積み重ねでした。まだ本番はこれからですが、こうしたプロセスを経て、地域に新しい選択肢が生まれていくのだと感じさせられる取材でした。
ドローンショーについてご興味のある方は、まずは軽くご相談されてみてはいかがでしょうか? きっとイベントの大きな目玉になることでしょう。
