
香川県出身で、日本を代表するジャズサックス奏者、多田誠司さんの人生を追ったドキュメンタリー映画「Still Playing My Life ~それでも奏でている、わが人生~」が、7月19日に高松市の丸亀町レッツホールで上映されます。
咽頭がんによって声を失い、サックスを吹くことも難しくなった多田さん。今回の映画では、その壮絶な闘病と、それでもなお音楽家として生きる姿を描いた作品です。
香川県高松市出身のジャズサックス奏者。高校時代まで吹奏楽に打ち込み、大学でジャズと出会いアルトサックスへ転向。上京後は国内外で活躍し、日野皓正さんのバンドメンバーとして海外公演にも参加するなど、日本を代表するジャズプレイヤーとして高い評価を受けてきました。2025年には下咽頭がんステージ4を公表するも、手術を乗り越えて復帰。
今回は、映画制作に携わったcielo(シエロ)の大林さんに、作品に込めた思いや制作秘話について話を聞きました。
ジャズ喫茶・Fifty(高松市古馬場町10-6 太田ビル2F)にて多田誠司さん本人が見守る中、インタビュー。写真右から、多田誠司さん、cieloの大林さんと松内さん。
「先生の人生を残したい」~映画制作の始まり
――まず、この映画が生まれたきっかけを教えてください。
「多田さんがご自身のSNSで、咽頭がんが見つかったことを公表されたんです。その当日に、高松出身のフリーアナウンサーの方が“ドキュメンタリーを作りましょう”と言い出したのが始まりでした」
そこからプロデューサーや監督との縁がつながり、本格的に映画制作がスタート。しかし当然ながら、映画制作には大きな資金が必要です。
「今の時代ならクラウドファンディングだろうという話になって。私たちcieloも、多田先生にはイベント出演や審査員などで本当にお世話になっていたので、“できる限り手伝おう”という気持ちで実行委員として参加しました」
支援者883人。想像を超えた反響
クラウドファンディングは想像以上の反響だったそうです。
「883人もの方が支援してくださって、本当にびっくりしました。最初は400万円くらい集まれば…と思っていたんですが、ありがたいことに想像以上(約1,140万円)でした」
ただ、支援が増えれば増えるほど、リターン発送などの作業も膨大に。
「事務所で切ったり貼ったり、“これOK、これOK”って確認しながら、みんなで分担して800人以上に発送しました(笑)」
それでも、その支援のおかげで映画のクオリティも大きく向上。
「本当なら削らないといけなかった部分も、妥協せず作れました。音楽も“この曲は絶対使いたい”というものを入れられたし、結果的に当初想像していた何倍もいい作品になったと思います」
映画自体も、当初は「高松と東京で上映できれば」という想定だったそうですが、全国から上映希望が殺到。
「“うちでも上映してください”という声が本当に多くて。そんな声を受けて全国を回らせてもらう予定です」
映画は単なる音楽ドキュメンタリーではなく、多田さんの“人間らしさ”も映し出しています。
「かっこいいだけじゃない」~弟子だから知る、多田誠司という人
――大林さんにとって、多田さんはどんな存在ですか?
「音楽家としては本当にレジェンドです。でも、それ以上に“すごい先生”なんです」
特に印象的なのが、その指導力。
「生徒一人ひとりを見て、“今この人にはこれが必要”って瞬時に判断できるんです。難しいことを押し付けるんじゃなくて、“ここを直せばもっと良くなるよ”って、その人に合った言葉で教えてくれる」
しかも、それをグループレッスンでも全員に対して同時にできるのだとか。
「経験もレベルも違う10人に、それぞれ違うアドバイスをパッとできるんです。あれは本当にすごいですね」
映画では、“レジェンド”としての姿だけではなく、多田さんの苦しみや葛藤も描かれています。
「実は、かなり体調が悪い時でも、仕事に穴を開けない人なんです。ライブではお客さんの前でビシッと演奏するけど、裏では本当にしんどそうな時もあった」
それでもステージに立ち続ける姿を、制作陣は間近で見てきました。
「映画では、かっこいい部分だけじゃなく、人間くさい部分や弱っているところも映っていると思います。でも、その中で“音楽家としてどう生きていくか”を前向きに考えている姿があるんです」
音楽ファンだけじゃなく、誰かの“人生のきっかけ”になる映画
この作品は、ジャズファンだけに向けた映画ではありません。
「病気と向き合っている人、人生の分岐点にいる人、何かに悩んでいる人…。誰が見ても、どこか自分に重なる部分があると思うんです」
「“あっちを選べばよかったかな”って、人は絶対どこかで思う。でも、この映画が何かを選ぶきっかけになったら嬉しいですね」
「何かを感じて帰ってもらえたら」
最後に、大林さんはこう語ってくれました。
「“こう感じてほしい”っていう押し付けはないんです。ジャズと同じで、その時その人が感じたものを持ち帰ってもらえたら」
「多田誠司さんは、今までのようには楽器を吹けなくなったかもしれない。でも、音楽家としてまだ前に進もうとしている。その姿を見て、“応援したい”と思ってもらえたら、この映画を作った意味があると思います」
音楽を続けること。生き続けること。
その意味を、静かに問いかけてくる一本になりそうです。
お問い合わせ cielo.music.group@gmail.com
最新の情報はこちらから 多田誠司オフィシャルサイト
取材協力 = Fifty(高松市古馬場町10-6 太田ビル2F)

【今後の上映予定】※本項執筆時点
▶7月19日 高松市丸亀町レッツホール
司会:鴨居真理子さん
14時オープン 15時上映開始
監督とのトークショーあり
▶8月2日 渋谷 ユーロライブ
司会:橋谷能理子さん
14時オープン 15時上映開始
豪華ゲストとのトークショーあり
▶8月10日 札幌 くう(COO)
1st映画 2ndは多田さんのユニット、トライアーキーのレコ発ライブあり
18:30オープン 19時上映開始
▶8月12日 旭川 NOW’S THE TIME
1st映画 2ndトライアーキーのレコ発ライブ
18:30オープン 19時上映開始
▶8月29日 岡山 bird
19時〜予定
▶8月30日 大阪 杯杯天山閣(上映後に中華コース付き)
14:30オープン 15時上映開始
▶9月20日日 香川県丸亀市 富屋珈琲
16時オープン 17時上映開始
▶9月21日 京都 さうりる
18時オープン 19時上映開始
▶9月22日 松山 モンク
1st映画 2ndトライアーキーレコ発ライブ
時間調整中
▶9月23日 徳島 花杏豆
(問い合わせは 開催協力店swingでも可)
18時オープン 19時上映開始
1st映画 2ndトライアーキーレコ発ライブ
▶9月27日 伊予西条 防災カフェ結
15:30開場 16時上映開始
▶10月11日 兵庫 三宮レンタルスペース
14時オープン 14:30上映開始
▶10月12日 京都府与謝郡与謝野町 Fiddle
14時半開場 15時上映開始
▶10月24日 石川県白山市松任学習センタープララ
19時オープン 19:30上映開始
▶10月25日 横浜BarBarBar
1st映画 2ndトライアーキーのレコ発ライブ
時間調整中
▶11月21日〜23日の期間に鹿児島と熊本
相談中
