
味やメニューだけじゃ語りきれない。
実は、お店にはもうひとつの“個性”があります。
それが——「間取り」。
香川県に移住して3年。
三豊市地域おこし協力隊のライター・ぼんが、じわじわ気になり続けているのが【うどん屋の間取り】です。
セルフ?フルサービス?
扉を開けるまでわからない、あの感じ。
お店ごとにちがう動線、ちがう距離感。
うどん屋という空間が異なるだけで、提供される“味にも変化”が表れている気がします。
気づけば、「この配置にはどんな理由があるんだろう?」と考えるようになっていました。
そしてついに——
一歩踏み出して、お話しいただいたことを記事にしていきます。
【連載|うどん屋の間取り帖】
はじまり、はじまり。
うどん屋の物語「1杯目」は、三豊市仁尾町の「こばや」へ。
空間から読み解く一杯、のぞいてみませんか?
※ライター・ぼんは「私のぼんのう文庫」という屋号で、noteでも記事を投稿しています。
よろしければ、そちらも合わせてご覧ください!
⇒ 私のぼんのう文庫(note)
1杯目|こばや(三豊市・仁尾町)

香川県三豊市仁尾町。
人気スポット「父母ヶ浜」の道路を挟んだ向かいに、うどん屋「こばや」はあります。
海風になじむ、落ち着いた佇まい。
派手ではないけれど、なぜか気になる、そんなお店。
観光客の多いエリア。でも店の空気は、どこかゆったりしています。
入口 ― 少しだけ、立ち止まる。
扉を開けると「あれ、セルフっぽい?でも違う?」と、ほんの一瞬、戸惑うかもしれません。
入口には、おでんやうどんで出来たお菓子が並ぶ。
ついつい目移りしてしまいます。


そんなタイミングで、「お好きな席へどうぞ」とやさしい声。
この“ひと呼吸”が、なんだか心地いい。
あとから理由がわかる、そんな一拍がありました。
内装 ― 湯気と視線が届く距離感
店内は自然光が入り、明るい雰囲気。

黒板の手書きメニューがアクセント。

客席はゆったりしていて、かけやすい。
ひとりでも、友人同士で訪れてもちょうどよさそう。
大きすぎない店内は30席くらいかな?
厨房の湯気や音、気配が自然と届く距離感。
セルフのようで、そうでもない。
フルサービスだけど、かしこまりすぎない。
この絶妙なバランス、ぜひ間取りも味わってみてほしいです。
まずは一杯|間取りから生まれた“うどん”

【釜かけ】(小)
ひとこと。
…おいしい。
釜からあがった麺を、そのまま熱い出汁へいれるスタイルが「釜かけ」(まだまだうどんのことは、香川の方に勉強中の私です)
やわらかさの中に、もちっとした弾力。
小麦の香りがふわっと広がります。
やさしい。でも、ちゃんと歯ごたえがあって芯がある感じ。
なんだか、お店の空気に似ている気がしました。
ブロッコリー天や、ちくわ天も人気。
ちょっと他のお店では見られないような「変わり種メニュー」もあって、毎日うどんばかり食べても飽きないのでは…!?


写真撮影も歓迎だそうです。
店主さんに聞いてみました

広島出身の店主・小林さん。
結婚を機に仁尾町へ移り住み、20年以上になります。
この場所では、これまでいくつかのお店が営業してきたそうです。
以前はセルフ形式のお店だった時期もあったとのこと。
だからこそ、入口で感じるあの“ひと呼吸”は、この場所が重ねてきた時間の積み重ねなのかもしれません。
お店を始められた当初は、これまでのお店と比較され、さまざまなご意見をいただくこともあったそうです。
暮らすことと、商いをすること。
似ているようで、少し違うと苦い思いもしたことがあったといいます。
そのなかで大切にしてきたのは、“味を覚えて帰ってもらうこと”。
少しずつ足を運んでくれる人が増え、今では地元の方にも親しまれる存在になりました。

距離を大切にした間取り
こだわりは「レジの位置」
小林さんはこれまで、飲食業でさまざまな経験を重ねてきました。
店舗運営や製麺に携わったこともあるそうです。
その経験を経て、自分の店では“人との距離感”を大切にしたいと考えました。
「お客さんの表情が見える距離でやりたい」
厨房から客席を見渡せる配置。
そして、帰り際の様子が自然と目に入るレジの位置。
帰りがけの何気ない会話。
そのやりとりが、このお店らしい風景をつくっています。
効率だけではなく、空気の流れも含めて選んで今の間取りがあります。

釜かけという選択
「釜かけ」は、できたての状態を味わうこだわりの一杯。

提供のタイミングや温度が大切で、手間もかかります。
それでも続けている理由をたずねると、「うちのやり方に合っているから」と、穏やかに話してくれました。
店の空気と、うどんの出し方。
どちらも無理のないかたちで。
その積み重ねが、この店らしさを作り上げてきました。
間取りの先にあるもの
入口で感じた、あの“ひと呼吸”。
帰り際の、ちょっとした会話。
間取りは、ただの設計図じゃない。
そこには、選ばれた“うどん屋のやり方”が刻まれている。
湯気の向こうに立ち上る、この店の“かたち”。
これが、うどん屋「こばや」の間取りです。
「うどん屋の間取り帖」
1杯目|こばや おわり。
■店舗情報
住所 香川県三豊市仁尾町仁尾乙182-6
電話番号 0875-82-9883
営業時間 平日:10:30-14:30、土日祝:10:30-夕方(玉切れ次第終了)
定休日 不定休
駐車場 20台(第2駐車場含む)

