
香川県丸亀市に、アートとまちの余韻に浸る滞在を提供するホテル「泊丸」が2026年9月に開業します。
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館の近くに位置し、「泊まる」という行為を深く解釈した、旅の途中の静かな停泊地となる宿の魅力をご紹介します。
「泊まる」を深く味わう、アートな滞在
丸亀は、城下街と港街の歴史を持ち、駅前には丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)が建つ魅力的なまちです。MIMOCAには、画家・猪熊弦一郎氏の作品が約2万点も収蔵されています。猪熊氏は丸亀で少年時代を過ごし、生涯にわたり色と形を探求した方です。彼の作品は美術館だけでなく、駅や公共建築など日常の場所にも広がっています。
「泊丸」という宿の名前には、「泊まる」という宿本来の役割に立ち返り、丸亀での滞在をシンプルに届けたいという想いが込められています。旅先では、ついつい多くの場所を巡ることに追われがちですが、「泊丸」では、船が港に錨を下ろすように、旅の途中で一度荷物を置いて立ち止まることから滞在が始まります。MIMOCAで作品を鑑賞し、まちを歩いた後、宿に戻ってその日に見た色や形、出会った風景をゆっくりと振り返る時間を大切にしているんですよ。一晩かけて自分の中に留めることで、翌朝にはまちの風景が少し違って見えるかもしれませんね。身体を休めるだけでなく、作品やまちから受け取ったものを自分の中で消化し、深めていくための場所として「泊丸」は構想されています。
こだわりのデザインとアートが彩る空間
「泊丸」のデザインにも、猪熊弦一郎氏の世界観が息づいています。ロゴおよびその周辺設計は、大阪を拠点とするデザインスタジオUMA / design farmが担当しました。
ロゴは客室の名称にもなっている「〇(Maru)」「△(Sankaku)」「□(Shikaku)」をモチーフにしています。これらは猪熊氏の作品にたびたび登場する基本的な形なんです。それぞれの形を重ね合わせることで、異なる個性を持つ客室をひとつの宿としてまとめ、さらに「船」を想起させる造形へと昇華させています。
各客室の入口には、香川県高松市在住のアーティスト・平山昌尚氏によるステンドグラスを思わせる小さな作品が設けられます。この作品は完成形を前提とせず、作者自身が宿に滞在して書き換えることを予定しているそう。宿泊するたびに作品が変化しているのを感じられるなんて、とてもユニークですよね。
建物の設計は、株式会社oocの橋本卓磨氏が担当しています。宿泊者の所作や時間を丁寧に捉え、空間へと落とし込む設計によって、「泊丸」の滞在空間は形づくられています。



地域に根ざした「泊丸」の想い
「泊丸」の企画・運営を行う株式会社丸亀企画は、丸亀で不動産業を営む馬場商事と、地域に根ざした事業を各地で展開する株式会社NEWLOCAL、そして香川県内で飲食店の運営・プロデュースを手がけるVITAMIN、それぞれの知見を掛け合わせて2025年に設立されました。丸亀企画は、地域の魅力を外から加えるのではなく、まちにすでにある人、文化、営みを起点に新しい場や事業を生み出すことを目指しています。
株式会社丸亀企画の代表取締役である馬場健誠氏は、「旅も人生も、ただ前へ進み続けるだけではなく、ときには立ち止まり、自分が見てきたものや感じたことを静かに振り返る時間が必要なのではないでしょうか。『泊丸』は、そんな時間を過ごすための宿です」とコメントしています。この宿が、多くの人にとって「立ち止まること」が前へ進む力へと変わる、小さな停泊地となることを願っているそうです。
ホテル基本概要
名称:泊丸(tomaru/とまる)
所在地:香川県丸亀市本町20-1
客室:3室(▢ 2F / △ 3F / ◯ 4F、各フロア1室)
構造:RC造・地上4階・築 102 年(1924 年竣工)
開業予定:2026 年 9 月 15 日 JR予讃線 丸亀駅 徒歩3分
