
日々の忙しさに追われ、自分のことを考える余白がなくなっている…。
そんな現代人に向けて、“服”という身近な存在からアプローチするブランドが香川で立ち上がっています。
その名は「sunoom(サヌーム)」。
手がけるのは、兵庫県出身で現在は高松市で土木設計の仕事に携わる平田さん。ファッション業界出身ではない、いわば異色の挑戦者です。
平田さん「ブランド名は“太陽(SUN)”と“月(MOON)”を掛け合わせたものです。日常を照らす光のような存在になれたらと思ってつけました。」
掲げるコンセプトは、「失いかけた心に、そっと空の余白を。」
仕事や日常の忙しさの中で見失いがちな自分自身を、ふと見つめ直すきっかけをつくりたい… そんな思いが込められています。
ファッションに無頓着だったからこそ生まれたブランド

意外にも、平田さん自身はもともとファッションへの関心が強かったわけではなかったそう。
平田さん「むしろ無頓着な方でした。だからこそ、シンプルで着やすいものがいいという感覚はずっとありました。」
装飾やトレンドではなく、“日常に自然に溶け込む服”。主張しすぎず、それでいて心に寄り添う存在。
その思想は、ブランドの方向性にも色濃く反映されています。
平田さん「服はほぼ24時間身につけるものです。だからこそ、そこから何かプラスのきっかけを届けられたらいいなと思っています。」
初動は好調、しかし見えた“壁”

ブランド初となるTシャツは、用意した数量を上回る約30着を販売しました。順調なスタートに見えますが、その多くは知人経由だったといいます。
平田さん「ほとんどが応援で買っていただいた形でした。ここからどう一般の方に広げていくかが課題です。」
続いて3月にリリースしたロングTシャツは、コンセプトやターゲットを緻密に設計したものの、今のところ思うような反応には至っていないそう。
平田さん「ブランドの意味や価値が、まだ十分に伝わっていないと感じています。」
特に課題として挙げるのが、価格に対する納得感。ロングTシャツは8,000円。決して安価ではありません。
平田さん「この価格でも買いたいと思ってもらえる理由が、まだ弱いのかなと思っています。」
見えない価値と、見えるこだわりの両立へ。一方で、プロダクト自体のこだわりは確かです。
・肌触りの良いコットン素材
・首元のタグを排したプリント仕様
・やや厚手で透けにくく、耐久性も意識
平田さん「ワンシーズンで終わる服ではなく、長く着られるものを目指しています。」
着心地や機能性といった分かりやすい価値と、ブランドが持つ内面的なメッセージ。その両立が、今後の鍵になりそうです。

なお、このロングTシャツは、公式webサイトで販売中です。応援の意味も込めて一着いかがでしょうか?
⇒ sunoom(サヌーム)
ゴールは“服”ではない。その先にあるもの
面白いなと思ったのは、平田さんがアパレルを最終目的とは考えていない点です。
平田さん「最終的にやりたいのは宿泊施設です。」
ご自身は転勤族のためいつかは香川から離れることもありそうですが、住むうちに好きになった香川か、地元に近い淡路島で一棟貸しのような宿泊施設を経営するのが夢なんだそうです。おじいちゃん、おばあちゃん子だった平田さんは、祖母が80歳になる4年後には実現したいと目標に掲げています。
目指すのは、日常の隙間を埋めるような空間づくり。アパレルはその思想を体現する入り口なんだそうです。
平田さん「服から始まって、空間や食など、いろんな形で人の心に働きかけられると思っています。」
将来的には、そのすべてを一つの場所に集約させる構想も描いています。
まずは一歩ずつ。“共感”が広がるブランドへ。
現在は小ロットでの展開を続けながら、トライアンドエラーの真っ最中です。次回は、夏に向けた半袖Tシャツのリリースを予定しているといいます。
平田さん「まずはもっと多くの人に知ってもらって、共感してくれる人を増やしたいです。」
ファッションから始まり、やがて空間へ。
“心の余白”をテーマにしたこの小さなブランドが、どんな広がりを見せていくのか。今はまだ、その入口に立ったばかりです。
画像提供 = sunoom
