【報告】起業しました。(2020年8月21日)
若い綺麗な女性からインスタのフォローをされると、大体いかがわしいアカウントだったりするのでいつもはスルーするのですが、今回登場いただく橋村愛希葉さんにフォローされた時は何となく直感が働いたのです。
そして、プロフィールのリンクを何気にたどると冒頭の文字が目に留まりました。
さらに読み進むと、在フランス日本国総領事館勤務というキャリアを捨てて地元香川にUターンして起業。しかも職業は「Independent Producer(インディペンデント・プロデューサー/独立生産者)」という、もはや僕の今まで生きてきた常識の上を行く理解不能な起業の形を目指している事に俄然興味を覚え、思い切ってコンタクトを取ってみたのでした。
海外で暮らしたからこそ分かる地元香川の魅力
ダメ元で取材をお願いしたら会ってくれました。
現在、三豊市を活動拠点とする橋村愛希葉(はしむら あきは)さん。
もしいかがわしいアカウントだったら、変なサイトに誘導されて個人情報を抜き取られて、挙句の果てに怖いお兄さんに脅されるところだったのですが、今回は僕の直感が正しかったようです。ちゃんとリアルに存在していました(笑)
有難い事に、本誌の企画であるカガワガールズ!やカガワボーイズ!に出演していただいた人とつながりがあり、そんな事もあってガーカガワについては耳にされていたとの事。
それならお互い安心! という事で、さっそくお話をお聞きする事にしました。
ーー今日は突然の無茶ぶりにお付き合いいただきありがとうございました。さっそくなのですが、プロフィールを拝見すると、「元在フランス日本国総領事館勤務」という文字がキラ星のように見えたのですが、そもそもなぜ海外で働こうと思ったのですか?
橋村さん「今思えば気付いたことも多いのですが、中学高校と香川で過ごすうちどこか居心地の悪さみたいなものを感じていて、『香川から出たい』『いっそうの事、日本からも出たい』という思いから海外で働くことを思い描いていました。」
ーーその後、念願叶って領事館勤務というキャリアを掴まれたわけですが、実際にフランスに暮らしてみてどうでしたか?
橋村さん「ほんと、楽しかったです! ちょうど安倍元総理の外遊があったり、新たな条約の締結があったりで、日本とフランス、あるいはヨーロッパとの関係が近年では一番盛り上がった時期でもありましたので、仕事自体もとっても充実していました。」
※在フランス日本国総領事館勤務の頃の写真。橋村さん提供。
ーーそれなのに、なぜ地元の香川に戻ろうと思ったのですか? 僕からすると、めっちゃ勿体ないような気がするのですが…
橋村さん「日本だと特に若い人たちには都会への憧れみたいなものがあるじゃないですか? でも、フランスで例えば『パリに遊びに行くよ』って言うと、なんでそんなところに行くの?って不思議がられるんです。持って生まれた物とか環境をすごく大切にする文化があるんですよね。」
都会への憧れに対して良い悪いではなく、生まれ育った土地に誇りを持って大切にするという文化が日本人より濃いと感じて、それが橋村さんの育った地元香川を見つめ直すきっかけになったのだそう。
橋村さん「そうやってあらためて地元香川を見てみると、食べ物も美味しいし、天災も少ない、海・山・島がある。そして、晴れた日が多い! 私が住んでいたフランスのある町なんて、どんよりとした天気がずっと続いたりするんですよ。ああ、香川っていいなぁ~と思いましたね。」
そして、今年になって世界的な流行となってしまった新型コロナウイルス。
生活形態や働き方というものが劇的に変わる中で、自分の将来設計をもう一度考えてみた時に、学生の頃には気づかなかった香川の魅力、そしてそこで組織に縛られない働き方があるんじゃないかという思いに至りました。
橋村さん「帰国する時は本当に大変でしたね。飛行機もなかなか飛ばない中、4度目の正直でやっと帰って来れました(笑)」
ーーそして、今は三豊市にお住まいなんですよね? 生まれ育った高松ではなく、なぜ三豊だったのでしょう?
橋村さん「いろいろリサーチする中でなぜかピンときて、3~4回視察してみて住みたいと思いました。何か人を引き付ける不思議な魅力を感じました。」
ーー三豊市は観光誘致にすごく積極的なイメージがあります。移住者にとっても受け入れられやすさもあるんでしょうね。
橋村さん「住んでみて思ったのですが、意外と他所から移り住んできた人が多いんですよね。楽しい人、面白い人も多いんですよ。」
これまでの常識にとらわれない「Independent Producer」という働き方
ーーところで、橋村さんの起業のやり方がすごくユニークだと思うのですが、肩書にされている「Independent Producer(インディペンデント・プロデューサー/独立生産者)」というものを少し説明していただけますか?
橋村さん「香川の魅力に気づく過程で、同時に今後の自分の人生や働き方について本気で考えてみたんですね。Independent Producerとは、その時に参考にした書籍『ライフ・シフト〜100年時代の人生戦略〜』内で定義されている新しいステージのひとつなんです。」
その部分を引用させていただくと、
旧来の起業家とは性格の異なる新しいタイプの起業家になったり、企業と新しいタイプのパートナー関係を結んだりして経済活動に携わる。(中略)ひとことで言えば、職を探す人ではなく、自分の職を生み出す人だ。(中略)組織に雇われずに独立した立場で生産的な活動に携わるためにまとまった時間を費やすことが大きな意味を持つ。(中略)生産活動を通じて学習することに重きが置かれる。
※出典:リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット『ライフ・シフト 100年時代の人生戦略』p.239-242
また、従来の企業勤め、官僚、起業家、フリーランス、副業の概念とは異なり、複数の業務をこなす「複業」であることもポイントなんだそう。
そういった働き方を選んだ理由も話してくれました。
②コロナ禍のお陰で気づいた複数の収入ポケットの必要性。
③場所と時間を自分で選んで働くライフスタイルを持ちたい。
ーーなんだかすごいプレゼンを受けた気になりました。しっかりとしたビジョンがあるんですね!
橋村さん「でも、理想は理想として、実はまだ具体的に何をしていくのかがはっきりしてなかったりするんですよ。とりあえず生活していかなきゃいけないのでアルバイトもしてますし(笑)」
ーーそんな事を言いながら、何かやろうとしてたり、実際に取り組んでいる事もあるんでしょう?
橋村さん「まだまだ具体的に動いているというわけじゃないのですが、考えていることは何個かありまして、やっぱり今住んでいる地元に何かしら貢献したいというのはありますよね。」
ひとつは領事館に勤めていた経験を生かした貿易の分野。地元のいいものを海外に輸出したり、逆に海外のものを輸入するECサイトを立ち上げたい。
また、領事館でSNSの開設から運用に携わった経験から、そういったものになかなか手が回らない地元の企業向けにSNS代行やweb広報も行いたい。
そして、仁尾の上手に活用されていないある場所をうまく生かす計画を練っているそう。
※父母が浜(2020.6.20撮影)
橋村さん「あと、最近人気の父母が浜なのですが、人はたくさん来ても地元にお金が落ちないという現実があって、そのあたりも何とかしたい思っています。そのとっかかりとして、実は仁尾にAnimal&Cafeヒラタヤさんという古民家を改装したお店があって、今は一旦閉店されているのですが、それをまた再生させる『平田屋プロジェクト』というものに関わらせていただいています。」
単なる古民家ではなく、いろんな美術品や骨董品などが埋もれている魅力ある平田屋さんをこのまま空き家にはさせない! という再生プロジェクトなんだそう。詳細はまだ言えないそうなのですが、カフェやゲストハウスなどの構想もあって、まさに橋村さんがやりたかったものがそこにあるんだそう。
橋村さん「平田屋プロジェクトの進捗などは今後インスタグラムなどで配信していきます。ぜひフォローしていただけると嬉しいです!」
まだ起業したばかりで、橋村さんの理想とする働き方が形になっていくのはこれからというところ。
でも、いろんな働き方という選択肢がある中で、今までの常識や組織に縛られるのではなく、本当に自分が幸せを感じながら楽しく働くことができる起業の形があっても良いと思います。
理想の仕事を探す、無いなら自分で作る!
地方には仕事がないと嘆く前に、いろんな可能性を模索して形にしていこうとする橋村さんの生き方に共感する人も多いのではないでしょうか?
橋村さんにはぜひ、そういった若者たちの先駆けとなる存在になっていただきたいですよね。それがそのまま地域の活性化に繋がっていくんだろうなという予感めいたものを感じました。
今回は、ひょんな事からとっても魅力的で楽しい、そして楽しみな人と出会うことができました。せっかくなので、今後もガーカガワで三豊の魅力を伝えてください!(笑)
おしまい。
⇒ 橋村愛希葉さんのInstagram
⇒ 橋村愛希菜さんが今頑張っている平田屋さんのInstagram
⇒ 橋村愛希菜さんが運用代行しているブーランジェリーヴァンのInsagram