長引くコロナ禍の影響もあってか、どうも最近、自分も含めて人々の心にゆとりがなくなってきたなと感じます。
大変な状況に置かれている人はもちろん、直接的な影響を受けていない人たちまで、先々に対する不安を抱え、何かギスギスとした雰囲気さえ感じる事が多くなってきました。
こんな時こそアートに触れて、少しでも心に余裕を持ちたいもの。
そんなわけで、この日から中津万象園さんで開かれる「狩野裕子展」にお邪魔しました。
~故郷への想い~ 狩野裕子展開催!
三豊市出身の洋画家・狩野裕子さんの展覧会が開催されるのに先立ち、多くの来賓を迎えてのオープニングセレモニーが行われました。
香川県の浜田知事をはじめ、丸亀市の松永市長、三豊市の山下市長からの祝辞のあと、狩野さんご本人からのご挨拶と、展覧会の簡単な紹介がありました。
1955年(昭和30年)、三豊郡豊中村(現在の三豊市豊中町)に生まれた狩野裕子さんは、高校を卒業するまでの18年間を過ごした三豊の風景を描き続ける事をライフワークとし、約14年の歳月をかけて2020年に「三豊百景」を完成させました。
今回は、「三豊百景」完成後県内初の展覧会となり、完成披露も兼ねているとの事。
さらに「狩野桜」と呼ばれる独自のタッチで描かれた桜や、年々表現力が進化する裸婦画など、洋画家・狩野裕子さんの魅力を満載した展覧会なんだそうです。
それではいよいよテープカットです。
会場には、「三豊百景」を中心に多くの絵画が展示されています。
狩野さん自らマイクを取り、その絵に秘められた思いやエピソードなどを1枚1枚丁寧に説明していきます。
こちらの絵は、有明浜を描いたもの。2016年に三豊市市民交流センターでの展覧会で、市民投票で選ばれた場所なんだそうです。
夕日の美しさと、光が当たった女子高生の仲の良さそうな様子がいいですね!
そしてこちらは紫雲出山の桜。
よく見ると、花びらひとつひとつを点で描くのではなく、流れるような曲線で描かれているのがすごく斬新に見えます。
これが「狩野桜」と呼ばれるゆえんでしょうか?
この曲線が描かれている独特の技法は裸婦画などにも使われていて、しかもかなり細かい。
構図もさることながら、絵の隅から隅まで一切の妥協がなく、まさに描き込まれている印象を受けました。
そのあたりを狩野さんにお聞きすると「ついいろいろ足し算で描いてしまうのですが、これからは引き算の絵も描いてみたいと思っているんです」と、謙遜しながら話してくれました。
こちらの桜も本当に綺麗! 個人的には一番好きかも。
他にも堀池の桜や海岸寺、ここ中津万象園で描いたものもありました。
中津万象園さんの絵は見惚れるあまり撮影するのを忘れていましたので、ぜひ直接ご覧ください。鳥たちがかわいいですよ。
そして、今回一番狩野さんがおすすめしてくれたのがこちらの絵画。
「結の花が咲き誇る」と題した一枚。
不安な日常とはいえ、人も木々も植物も、自然は変わることなく繋がっています。どのような時でも、人と人の心を繋ぐ「結の花」が咲き誇っている所をイメージされたそう。
こんな時だからこそ、この絵からそれぞれに感じる物があるんじゃないかなと思いました。
「三豊百景」と題されただけあって、地元の人にとっては馴染みのある、親しみの感じる絵が多いと思います。
また、個人的な感想なのですが、もちろん1枚1枚の絵にそれぞれストーリーを感じる魅力があるのですが、全体を俯瞰した時になんとなくトーンが同じというか、すーっと心が妙に落ち着いてくるような不思議な感覚を持ちました。
狩野さんとも少し雑談しながら作品を拝見したのですが、本当に謙虚で、それでいて遊び心があったりで、作品を拝見した印象をそのまま人物に現したような素敵な方でした。
「狩野裕子展」は2021年10月3日までの開催。入場料とは別に大人500円、小中学生200円が必要です。
ちなみに狩野さんの今の心境をお聞きしたら、「こちらに来て丸亀を描きたくてウズウズしてるんです」とおっしゃっていました。
どんだけ絵を描くのが好きやねん!(笑)
おしまい。
施設名 | 中津万象園・丸亀美術館 |
所在地 | 丸亀市中津町25-1 ※無料駐車場あり |
電話番号 | 0877-23-6326 |
営業時間 | 9:30~17:00 ※最終受付16:30 |
休業日 | 水曜日 |
入場料 | ・庭園 大人700円 小中学生300円 ・絵画館 大人500円 小中学生200円 ・庭園+絵画館セット券 大人1,200円 小中学生500円 ※絵画館の特別展開催期間中は別料金となります。 |