取材やらなんやらで自営業者や小さい会社の経営者さんとお話しすることも多いのですが、まれに雑談から「知名度が上がればうちの商品もっと売れるのに…」なんて話をよく聞きます。
そこで知名度を上げるために何かやっているのかと聞くと、だいたいSNSを使っているとか、これからSNSを始めようと思っていると話される人が多いんですよね。
もちろんそれも間違ってはいないのですが、資金的な体力のない小さな会社がSNSにオールインすると、ちょっと危険かもしれません。
今回はSNSを運用するうえでの誤解と、その対処法について書きたいと思います。
タダで集客できるという幻想に囚われてしまったAさんの末路
知っている人もいるかもしれませんが、私は数年前までインターネットを使ったマーケティングのコンサルタントもやっていました。(中にはゼロから年商億越えした人もいますが、いい大人の意識を変えるのは現実的にはかなり厳しく、徒労に終わることも多かったので心が折れてしまいました…)
最近の事例を出すと身バレするかもしれませんので十年近く前の事例で恐縮ですが、仮にAさんとしましょう。
Aさんは愛犬家で、自身が犬と暮らす中であったらいいな…と思うペット用品をネットショップで販売しようと思い立ちました。100万円近くかけて親しみのあるオレンジ色で統一した小さなECサイトを作り、商品も厳選した自信のあるものを並べ、注文から配送までのオペレーションも抜かりはなし。集客は当時流行りだしたFacebookやInstagramで行うというプランでした。
ここまで自力でやってしまうのですからかなり勉強されていたことが分かります。でも、起業から半年経ってもまったく売れない…。
さすがに最初からうまく行くとは思っていなかったAさんは、当面の生活資金は確保していたのですが、このままだとジリ貧になるという危機感を抱き、この段階でとある人からの紹介で私のところに相談にやってきたのでした。
今もそうですが、その当時もただホームページを作っただけではアクセス(閲覧数)を稼げないのは常識です。SNSのフォロワー数も数百レベル(半年で数百なら優秀ですが…)で、一体どうやって自分の商品を世の人たちに知ってもらうのか? Aさんはいろんな勉強はされているようですが、私の印象ではその部分だけはぽっかり穴が開いているように見えたんですね。
私も2007年にインターネットを使った仲介ビジネスで起業したのですが、自身のホームページのアクセス数を上げるためにまず考えたのは効果の高い広告の活用方法でした。というのも、事業に使える手持ち資金は200万円ほどしかなかったからです。
口コミなどで自然に集客できるまで待っていたら手持ちの資金はあっという間に消えてしまう。詳細は省きますが、私が活用した広告はYahoo!やGoogleの検索結果に出てくる、ワンクリックいくらというもので、私の場合は平均で月10万円の広告費をかけて300万円売り上げるみたいなイメージで行っていました。
Aさんには私の実体験をお伝えして広告費をケチってはいけないという点をお話ししたのですが、すでにその時点では広告費をねん出する余力はないのか「もう少し売り上げが安定したら考えます」と去って行きました。それから2年ほど経ったある日、Aさんを紹介してくれた人の話によると、その後Aさんは借金を重ねとうとう債務整理を行ったそうです。
広告は投資であるという思考は必要!事業はスピードが命です。
今思えばAさんは、ネットショップという最難関のビジネスモデルを選んだ時点で自らハードルを上げてしまったわけですが、その後ガーカガワの取材を行う中でも、以前取材に行ったお店がある日閉店してしまった、小さなメーカーさんが廃業してしまったという事例を多く見てきました。
一瞬でも私と関わった人たちが悔しい思いをされるのが見ていられなくてこんな記事を書いているのですが、これまで全国いろんな事業者を見て来た経験だと、香川だけとは言いませんが、地方は特に広告や広報に経費を掛けるという意識が薄いように感じます。
もちろんSNSをうまく活用して集客を図っている事業者はたくさんいます。でも、他の広報手段も併用しているケースがほとんどですし、SNSだけで集客できるのは飲食店や小売などといった限られた業種だけじゃないでしょうか。それにしたって自分のお店を選んでもらうための同業者間、SNS間の競争があるわけですしね。
SNSの中でお客さんの取り合いになっているので、ちょっと目先を変えてうちなんかで取材記事を書いたりすると、かき氷が4倍売れたとか、ツアーの予約が即完売になったりとか、ちょっと不思議な現象が起きたりするのかもしれません。
それと、一番考えないといけないのは、SNSのフォロワーを集め、広告効果が出るようになるまでにはある程度のセンスと時間が必要という事。特に飲食店や小売店舗はオープン時にはインフルエンサーやいろんな媒体が取材に来るのでそこで油断してしまうのですが、そんなオープンフィーバーはそう長くは続きませんよね。
しっかりSNSを育てつつも、それだけに頼ってしまうと、先のAさんのように売り上げが安定する前に資金ショートしてしまうなんて事になりかねません。せめてSNSの効果が出てくるまでは広告費を投資として考えるという思考が必要かもしれませんね。
同業者がSNSへオールインしている間にちょこっとだけ広告を投下すると、思いのほか効果が出るかもしれませんしね。
費用を掛けずに時間をかけてしまうのか、お金をかけて時間を短縮するのか? 自信のある商品やサービスを扱っているのに、もうひとつ集客がうまく行かない… と思われる事業者さんは、今一度経営の基本に帰って考えてみてもいいかもしれませんね。
以上、つらつらと書きましたが、要はガーカガワに広告を出してね! というお話でした。(魂胆見え見えやし!笑)
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