自身の単独ライブ「ゾミノミゾ」が50回を数え、さらに出身の関西(神戸・尼崎・大阪京橋)で凱旋ライブツアーを行うなど精力的に活動されているシンガーソングライターの「矢野ゾミ(やの ぞみ)さん。
音楽活動の延長線上に香川があったのかと思いきや、実は香川に移住したことがきっかけで本格的にシンガーソングライターとして活動を始めたという。
活躍の場を求めて香川から都会に出ていく若者が多い中、逆に都会から香川に移住することでその才能を開花させたという彼女のキャラクターやその音楽性がすごく気になったのでお話をお聞きしてきました。
場所は高松市古馬場町にあるライブハウス・高松ビートルズさん。週末を中心に弾き語りやバンドによるライブなどが行われ、ライブが無い日はパブとして営業されているそうです。
実はこちらで「矢野ゾミさんが毎月第一日曜日に単独ライブ「ゾミノミゾ」が定期公演されていると聞き、その公演日に合わせて内心ワクワクしながらお邪魔しているのです。
インタビュー自体はライブが始まる前に行ったのですが、ライブ自体の様子もぜひお届けしたいので、ライブ中に撮影した写真画像と一緒にご覧ください。
音楽活動のきっかけは香川の企業に就職したこと
ーー本日はライブ前の慌ただしい時間にもかかわらずお時間をいただきありがとうございます。まずは簡単に自己紹介などお願いします。
ゾミさん「はじめまして「矢野ゾミです。最近ちょっと名前の表記を変えまして “「(かぎかっこ)” を付けています。読み方は “やの ぞみ” なのですが、だんだん本名に近づけています。大学時代に弾き語りのサークルに入っていたのですが、元々はその時のあだ名が “ゾミ” でして、そのままライブ活動を始めるようになってもゾミのままだったのですが、だんだんこのようになりました(笑)」
本名をお聞きして「なるほど~!」と合点がいったのですが、あえて伏せておきますので皆さん想像してみてください(笑)
ーー出身は関西とお聞きしたのですが、なぜ香川を拠点に活動されているのでしょうか?
ゾミさん「実は大学を卒業して就職したのがたまたま香川の会社で、就職のために香川に移住しました。最初は友達もいなくて、大学時代にちょっとだけギターをかじっていたので、友達ができればいいな…と、ここ(高松ビートルズ)のフリーライブに参加したのが音楽活動のきっかけですね。」
ーーじゃあ、そもそもは「プロのロックンローラーを目指しているんだぜベイビー!」みたいな感じではなかったんですね?
ゾミさん「実はそうではないんです(笑)」
最初は軽い気持ちでライブハウスの扉を叩いたものが、他の奏者たちの演奏を聴いてそのオリジナル性の高さに感銘を受け、次第に自身の演奏にものめり込んでいったといいます。
ゾミさん「今まで自分が聴いていた音楽はメジャーで美しい言葉が散りばめられた曲が多かったのに対して、ここで演奏する皆さんはもっと自由にオリジナル曲を書いて自分を表現していることに衝撃を受け、それが面白いと思いました。」
でも、それなら大阪や神戸にはたくさんのライブハウスはあるし、そういった音楽を演奏する人も多いような気がしますが、単純にその機会がなかったというのが面白いところ。なんでもありすぎる都会だからこそ、逆に埋もれてしまうものも多いのでしょうね。
というか、普通はそれほどギターの経験もないのに弾こうとは思わないはず。ライブハウスの演奏に感動したとしても、普通は聴く側としてハマると思うのですが、演奏する側に行ってしまうその行動力がすごいと思いました。
ゾミさん「最初は出来ないことやうまく行かないことも多かったのですが、それをひとつひとつ出来るようになる楽しさがありますし、ここのマスターが温かい目で見ていただいたのも大きかったと思います。」
聴く人それぞれの感性でライブを楽しんでもらいたい!
「矢野ゾミさんの音楽は、僕個人的なイメージで言えば良い意味でアナログ的でどこか懐かしさを感じる曲が多いという印象。迫力のある声質に、時に叫ぶように歌うスタイルが逆に耳に心地良いのだから不思議です。独特の歌詞も時に関西弁が入ったりで個性豊か。
ーーご自身の音楽のスタイルやイメージをひと言でいうと?
ゾミさん「それ結構聞かれて困るんですけど… そうですね… よく憑依型とか激演型とか言われます(笑)」
ーー憑依型? なにかに取り憑かれているんですか?!
ゾミさん「自分ではよく分からないんですけど、普段の自分を知っている人からすると(人格が変わるような)不思議な感じらしいです(笑)」
取材後撮影した写真を見直してみたのですが、そう言われると憑依… ではなく、シャウト的な表情の写真が確かに多かったです。
ーー僕が聴いていて耳障りの良いアナログ感を感じるのですが…
ゾミさん「それは多分アコースティックのライブということもあるんでしょうね。アコースティックギターの良さは歌だけでなく音にも感情を乗せやすいところだと思います。」
感情を乗せるあまり譜面からあえて外れることも多い自由な演奏は、最近のパソコンで作る打ち込みとはまた違った魅力があるといいます。演奏自体も生きもので、それこそライブ感の味わえる音楽の感じが好きなんだそうです。
ーーシンガーソングライターということは曲もご自身で作られていると思うのですが、曲作りにおいて何か影響を受けていることってありますか?
ゾミさん「もちろんあります。日常生活で起きたことや自分とは関係ないところで起きたニュースなどに影響を受けて曲になることも多いですし、音楽的には『ドレスコーズ』というバンドの曲が好きで影響を受けているところはあります。それと、ライブなどで一緒になるアマチュアミュージシャンの皆さんに感銘を受けることが多いです。曲のひとつひとつの言葉選びだったり、ライブなので曲そのものとライブの出し方は別物で、世界観を出すのがすごく上手な人がいたりしていつも『すごい!』と思っています。」
ゾミさんにもそういった世界観は十分感じられるのですが、先ほど憑依という言葉が出たとおり歌っている時のイメージと、ほんわり楽しく話す曲間のMCとのギャップもライブならではのゾミさんの魅力だと思います。
ーーご自身の曲作りにおいて込められたメッセージや、何か曲を通じて伝えたいことなどはありますか?
ゾミさん「良いか悪いか分からないのですが、聴いていただいている人に特別何か伝えたいことはないです。例えば私が曲に対してAという思いを込めて歌っていたとして、聴かれる方がその感性やライブ感などでBというメッセージを受け取ってもらってもそれはそれで良いことだと思います。この曲はこういうイメージで作って、こういうメッセージを伝えたくて… なんてやるのはヤボ(笑) 私としてはいろんな思いを込めて歌っていますが、受け手のとらえ方も自由であってほしいと思います。ただ、あえて感じてもらいたいことがあるとすれば、ライブそのものの楽しさが伝わればいいなと。」
そんなことを聞く僕もヤボでした(笑)
ーー音楽の話からそれますが、香川に暮らしてみてどうですか?
ゾミさん「めっちゃ住みやすいですね。私はゴミゴミした所が苦手で関西を出てきたという理由もあるんですよ。なので、香川に来てすっごく穏やかに暮らせています。先日もライブで地元の関西に戻ったのですが、めっちゃしんどくて… 香川は人柄もみんな穏やかな人が多くて、ちょっと行けば山もあるし海も綺麗やしおしゃれなカフェもあるし、ほんとめっちゃええところです(笑)」
僕も元関西人ですが、ほんと同感です。細かいところをいえばいろいろあるけど、総じていえば住みやすくてほんといいところだと思います。
ーーでは最後に、今後に向けての目標などはありますか?
ゾミさん「目標かぁ~ そうですね… でも、ここに来るお客さんがもっと増えてライブの楽しさがもっと広がればいいですね。みなさん、ぜひ高松ビートルズに来てください!(笑)」
お話をお聞きしていて、ほんと陽キャラ(笑)。ずっと笑っているし、文字にするとあまり伝わらないのですがお話も上手。「矢野ゾミさんのこの人柄に引かれてファンになる人も多いような気がします。
またゾミさんが作詞作曲して歌う曲は、普段メジャーな曲ばかりを聴いている人には、ある意味での破天荒さに驚かれると思いますし、ライブだからこそ感じる生きた音楽は新鮮なものとして映る事でしょう。
「矢野ゾミさんのライブ「ゾミノミゾ」は、毎月第一日曜日に高松ビートルズ(高松市古馬場町8-7 岩佐ビル3F)で開催中です。ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?
おしまい。