人気企画の4回目は、現役の高専生でありながらプログラミングや動画編集、ブログ、3DCGソフトを駆使した作品を制作したりなど、まさにデジタルネイティブ世代の木村友郁さんにインタビューしました。
高松市にあるコワーキングスペース「Setouchi-i-Bace」さんを舞台にして、そこに集まる面白いフリーランスの方を中心にインタビューするこのシリーズ。
前回までは起業家の方にお話しをお聴きしたのですが、今回は起業に向けて頑張っている若者にスポットを当ててみました。題して「起業してこうなりたい!(笑)」。と言ってもただ夢を持っているだけじゃなく、中学生の時に参加したスタートアップ体験イベントでいきなり優勝してしまったという実力の持ち主です。
さぁ、今どきのデジタルネイティブ世代がどんな夢を語ってくれるのか、ぜひご覧ください!
幼稚園児の頃からゲームに熱中。そのうち作る側になりたいと思うようになった!
Setouchi-i-Baseのスタッフさんに紹介されるまで、そこにいる事すら気づかないほどコワーキングスペースに馴染んでいる木村友郁さん。高専1年生なのに大学生と紹介されても違和感のないほど落ち着いています。
こういう若者を見るとついイジリたくなるのですが、自分が高校生だった頃のバカ丸出しチャラ男とはまったく別人種のような雰囲気を醸し出していたので、まずは控えめな感じでインタビューをスタートしていきましょう。
ーー今日はよろしくお願いします。さっそくですが、簡単に自己紹介からお願いします!
木村さん「はい。現在、高専1年生の木村友郁です。で…あの…」
いや、動画撮ってるわけじゃないので、別に緊張しなくてもいいよ~!(というか、落ち着いているように見えたのは単に緊張してただけ?笑)
木村さん「えっと… いろんな事をやってて、ブログや動画編集、プログラムなんかも勉強しています。Setouchi-i-Baseは中学3年生の頃から通っていて、起業イベントではオーガナイザーとして参加したりしました。学校では、いちおうプロコン部(プログラムコンテスト部)で活動しています。」
ーーへぇ~、そんな部活があるんですね。ちなみに彼女はいてるの?(笑)
あっ…、いや、やばい感じやったら別にいいよ…
木村さん「ああ、まぁ、いちおう…」
おるんかい!
夛田さん「えっ?おんなじ高専の子?」
おっ! コーディネーターの夛田さんがいきなり絡んできた!
木村さん「いえ… 別の高校です…」
夛田さん・編集原田「あ~っ! 遠距離恋愛なんや~♪」
あまりツッコむと嫌われてもいけないので、本題に戻します。
ーープログラムに興味があって高専にも進学されたと思うのですが、そもそもプログラムを勉強しようと思ったきっかけは何でしたか?
木村さん「幼稚園児の頃からゲームがめちゃくちゃ大好きで、親のパソコンでピンボールゲームをしたりポータブルゲーム機などで遊んでいました。遊んでいく中で『もっとこうだったらいいのに』と思う事が結構あって、そのうち自分でもゲームを作りたいと思うようになりました。小学校の頃にはこちらの下の階にある『e-とぴあ・かがわ』でいろんなプログラムのイベントに通うようになって、中学の時には友達と一緒にゲームを作っていろんな人に実際にプレイしてもらったりもして、ますます面白いと感じています。」
既存の物に満足せず、もっとこうしたいという発想から興味が出て、さらに実際に行動するんだからすごい!
将来はプログラミングを軸に、いろんなものにチャレンジし、新しいビジネスモデルを確立したい!
ーーそうすると、将来もやはりゲームを始めとしたプログラマーになりたいという事でしょうか? 一方で、スタートアップ体験イベントで優勝するなど、起業についても興味がありそうですね?
木村さん「そうですね、どこかの会社に就職するのも悪くはないのですが、こういったイベントに参加させてもらう事で自分で起業したいという想いも出てきました。」
ーーそのために現在進行形でいろいろやっているんですよね?
木村さん「まずはいろんな世界をのぞいてみたいので興味のあるイベントに参加したり、情報発信もしていきたいのでブログも始めました。プログラムに関してはゲームで香川を盛り上げようといった主旨で他のグループにも入って、例えばUnityというゲーミングサービスを利用したゲームを作ったり、さらにもっと高等なプラグラムが組めるように勉強もしています。」
ーー賛否の分かれるゲーム条例もあって、香川のゲームプログラマーにとってはいろんな逆風もあるかもしれませんね。ゲームで香川を盛り上げるというのも、そこいらの反動もあるのでは?
木村さん「でも、1時間しかゲームができないなら1時間で完結する面白いゲームが作れるかもしれませんし、香川ならではの面白いキャッチコピーも思いつくかもしれませんよね。逆にうまく使いたいですね。」
どんだけ前向きやねん!(笑)
ゲームのデモを見せてくれる木村さん。僕にはさっぱり分かりませんが木村さんのこだわりがあるようで、「やっぱりこっちにしていいですか?」と、何度か撮り直しました。(笑)
誌面の関係で割愛しますが、その後も新しいゲーム案や情報発信としてのブログの活用方法、おじさんである僕からの要望でデジタルネイティブ世代についていけない中高年に分かりやすくレクチャーするビジネスモデルなど、コーディネーターの夛田さんも交えて楽しくアイディア出しをしましたが、高校生の世代とビジネスの話ができるなんて、めっちゃ新鮮でした。
社会人だけでなく、中高生や大学生にも利用価値のあるSetouchi-i-Base
ーーところで、中学生からSetouchi-i-Baseさんに通われているという事にも興味があるのですが、大人たちばかりのコワーキングスペースをなぜ利用しようと思ったのですか?
木村さん「中学3年生の時にたまたまチラシを見て、なんか面白そうなのでそのままバスに乗って見学しました。大学生や大人の人たちと一緒に参加できるいろんなイベントが楽しそうでしたし、受験勉強にも使っていいよと言ってもらえたので、それからは学校が終わってから通うようになりました。思った以上に受験勉強に集中できたので、当時行ってた塾も辞めたぐらいです。」
夛田さん「塾まで辞めたんや… それは知らんかった(笑)」
ーーイベントにも積極的に参加されたそうですが、どうでしたか?
木村さん「普通に生活していたら経験できない事が多くてすごく新鮮でした。自分の知らない世界が多くて、『こんな世界があるんだ』といろんな事が吸収できて面白かったです。一緒に参加された大学生や大人の人たちも親切にしてくれて、いろんな人たちと知り合えるのも楽しいです。」
コーディネーターの夛田さんともまるで仲の良い兄弟のようで、取材中にもイジリ合ってたりして良い雰囲気でした。(笑)
ーー夛田さんにお聞きします。学生である木村さんに、コーディネーターとしてどのような働きかけを行っていますか?
夛田さん「最初のきっかけが受験勉強だったので、正直あまり僕の方から提案する事もなかったのですが、いろんなイベントに参加されていろいろ吸収されたみたいな話を聞くと、Setouchi-i-Baseが何かきっかけになったようで嬉しいですね。コワーキングスペースというと、とかく社会人のためにあると思われがちですが、木村君のように中高生からでも参加できるイベントも定期的に開催していますので、社会に触れるという良い機会になると思います。」
ーー保護者の方や学校の先生以外の大人とふれあう事も良い経験になりそうですね。
夛田さん「Setouchi-i-baseは受験勉強の場として使ってもらってもいいですが、できれば木村君のように勉強の合間にイベントなどに参加したり、コーディネーターを通じていろんな大人の会員さんと話したり、知識を吸収してもらえると楽しいと思います。学校の勉強も大事ですが、いろんな知識と経験が身に付くと、将来に対する選択肢も広がってくると思います。僕たちもそんな機会を多く提供できるように頑張りたいですね!」
ーー最後に、木村さんの当面の目標をお聞きします。
木村さん「そうですね、やっぱり軸としてはプログラマーになりたいのですが、ブログや動画編集などもしっかり勉強して成長させていきたいです。いろんな事をやっていくなかでアイディアも出てくると思うので、何かビジネスチャンスが見つけられればと思っています。」
いやはや… しっかりしすぎてる… 本当に高専1年生??
こういう編集の仕事をしていると取材等でいろんな若者と接する機会があるのですが、ちゃんと将来の目標があって、実際それに向かって行動を起こしている人はそうそういるものではありません。
ひとつは木村さんの類まれな行動力がある事は間違いなさそうですが、それを受け入れる場がちゃんと整っている事も大きな要因だと思います。木村さんのお話しを聴いていて、我々親世代はあれこれ過保護にならずに若者の興味を引き出す事をもっと考え、サポートできる、ある意味おおらかさも必要なんじゃないかとふと思ったりもしました。
もしかしたら、香川発の新しい形のプログラマーが誕生するかもしれませんよ。
おしまい。
⇒ 木村さんのブログ(きさらぎのおへや)
⇒ Setouchi-i-Base公式サイト