いや、その気持ちは本当にわかる!
小麦アレルギーの人は多いし、世界を見渡せばベジタリアンやヴィーガンの人も増えつつあります。そういった人たちにも香川が誇る讃岐うどんを食べてもらいたいという気持ちは痛いほどわかるのですが、果たして小麦粉を使わない、出汁にいりこも使わない… これで本当に讃岐うどんとして成り立つのか?
そんな疑問を持ちながら、出店予定の高松市牟礼町大町にて発表記者会見があるというので参加してみました。
高松のクリエイティブカンパニーが讃岐うどんの概念をデザインし直す「プラントベース&グルテンフリーの讃岐うどん店」を12月にオープン!
今回この途方もないプロジェクトを立ち上げたのは、香川県を拠点に地域の企業やお店のブランディングなどを手がける「株式会社人生は上々だ」。最近ではアーティストと職人を繋げて地域振興をはかる「SANUKI ReMIX」などをプロデュースすることでも知られています。
このプロジェクトを立ち上げたきっかけは、同社代表の村上モリロー氏の息子さんに食べ物のアレルギーがあったこと。
例えば出張などでお土産を買う際、お菓子などはほとんどが乳製品が入っていて選ぶのに苦労されているそう。そういった経験をきっかけに、「どんな人でも平等に楽しめる食の場を作りたい」と「NO BORDER UDON」プロジェクトをスタートさせたとのこと。
小麦粉やいりこ出汁は讃岐うどんには欠かせない食材です。これらをグルテンフリーかつ植物由来の食材に置き換えて新たに開発するためには食に精通した知識と経験が必要になります。
そこで、この「NO BORDER UDON」プロジェクトには世界レベルのシェフやクリエイターが参画しているとのこと。
そのひとり、世界中のヴィーガンやベジタリアンに最も利用されているレストラン情報サイトで世界1位を獲得した、東京・自由が丘のヴィーガン和食店「菜道」のシェフ・楠本勝三氏も記者会見に参加されていました。
世界中には宗教上の理由で特定の食材を食べることができない人、あるいは信条や健康上の理由でヴィーガンやベジタリアンの人も多くいます。ただ、今回のプロジェクトは「NO BORDER UDON」とあるように、そういった人たちのためだけに讃岐うどんを開発するのではないといいます。
普段あたりまえに讃岐うどんを食べている人にも美味しく味わっていただける、あるいはひとつの選択肢としてアリかなと思っていただける、すべての人々が普通の感覚として美味しい讃岐うどんを楽しんでもらいたいという思いでプロジェクトにかかわっていきたいと抱負を語っていただきました。
記者会見では楠本シェフ手製のプラントベースのスープをふるまうシーンも。
トマトをベースとしたもので、水は一切使われていないのだとか。
そのほかにも、イタリア政府公認組織であるFIPGC(国際洋菓子連盟)より「世界最高のジェラートショップ」の称号を授与されたジェラートマエストロの柴野大造氏はお店で提供する乳製品を使わないジェラートを開発。コピーライターの岩崎亜矢氏は店名のネーミングなどで参加。讃岐うどんの監修は牟礼町の老舗・うどん本陣山田屋さんが行うそうです。
ちなみに岩崎さんが考案された今回のうどん店の店名「by age 18(ばいえーじえいてぃーん)」は、アインシュタインが従来の常識に囚われることの馬鹿馬鹿しさを説いた名言「Commonsense is the collection of prejudices acquired by age 18.(常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションでしかない)」という文言から発想されたものなんだそう。
店舗が建つ場所にはすでに基礎が施されていました。
完成時には2階建ての店舗になるそうで、1階には株式会社人生は上々だがこれまでにプロデュースしたプロダクトや世界で活躍する職人たちの作品を展示・販売。2階には瀬戸内海の絶景を眺めながら世界の誰もが食べられる讃岐うどんを提供する予定。
位置的に2階からはこんな感じの景色になるんでしょうか。最高のロケーションです。
今後のスケジュールですが、讃岐うどんのお店「by age 18」は2023年12月の正式オープンを目標にプロジェクトを始動。グルテンフリーのうどん麺を自社で製麺するためのクラウドファンディングも5月19日~7月9日の期間で行う予定です。
⇒ 世界80億人が食べられるプラントベース・グルテンフリーの讃岐うどんを提供したい
これまでにない新しい讃岐うどんを提唱されるとのことで、讃岐うどんに特別な愛着とこだわりを持つうどん県民の中には懐疑的な目を向ける人もいるかもしれませんが、「世界中すべての人に美味しい讃岐うどんを楽しんでもらいたい」という志は本物だと思います。
僕個人としては、このプロジェクトがどんな大輪の花を咲かせるのか楽しみでなりません。
おしまい。
店舗予定地 香川県高松市牟礼町大町103-10