
瀬戸内海の景観や豊かな食に魅了されて移住してきた 舘 咲奈(たち さきな)さん。普段はANAの客室乗務員として働きながら、大好きな三豊市の観光振興にも携わっているそうです。
そんな舘さんに三豊市のお気に入りを紹介してもらう「現役CAの三豊ログ帳」、今回は夏になると特に欲しくなるお酢についてです。三豊のお酢に興味を持ってもらって、夏バテ解消してもらおうと張り切って取材に行って来ました。記事の最後には、手書きのフライトログブック(ログ帳)風にレシピも書いてもらったのでお楽しみに!
昔と変わらない製法で醸造する創業約280年の仁尾酢

三豊市仁尾の古い町並みを歩くと、ひと際目を引くレトロなレンガ造りの煙突。中橋造酢株式会社は、1741年創業という280年以上も続く老舗で、米酢「仁尾酢」を醸造しています。

香川県ではもっとも古いとされる酢の醸造所の中には大きな杉樽が並び、温度をある程度一定に保ちながら発酵させている様子が伺えます。

樽の中を少し見せていただいたのですが、仁尾酢特有の菌による発酵でかなり温かい。発酵する際の独特な匂いがするのかなと想像していましたが、案外それほどでもなく、むしろほのかな香りといった印象です。

ちなみにこの杉樽は100年以上も使われているそうです。醸造所を案内してくれた中橋さんによると、醸造所ごとに菌も違うそうで、10年ほど前、地元の高校理数科生徒グループによる仁尾酢の醸造法に関与する菌の研究発表(日本学生科学賞)が全国2位を受賞しました。この研究結果により酢酸菌や乳酸菌など3種類の菌が見つかったそうです。発酵を遅くする菌も含まれているため、それを取り除くと早く発酵させることができると言われたそうですが、仁尾酢の伝統の味が変わってしまうかもしれないからと、あえて変えずにいるのだそうです。

ところで、米酢はどうやって作られているかご存じですか?
最初の行程は日本酒と同じく窯でお米を蒸し、発酵させます。使われるお水はもちろん山からの湧水。その後、少しお酢を混ぜて絞ったものがもろみと呼ばれる原酒で、それに種酢や酢酸菌などを加えてお酒のアルコール成分を酢酸に変化させることでお酢になります。これらを昔ながらの製法で、時間をかけてじっくりと発酵させることで、コクや旨み、香りのある仁尾酢が誕生するわけですね。
今回、醸造所を案内してくれた中橋さん。すごく細かくこだわりの製法について教えていただいたのですが、私の基礎知識が絶望的に不足していたので話の半分も理解できずすみません。でも、酢造りに対する想いやこだわりは十分に伝わってきました。
あらかじめ数日前にご連絡をいただけると可能な限り醸造所の見学にも対応してくれるそうです。ご興味のある方はぜひどうぞ。

醸造所から歩いて10分ほどにある販売所にも立ち寄ってみました。仁尾酢を買うならこちら。


三豊市にいらした際には、仁尾酢をぜひお土産にどうぞ。私も友人へのお土産にしようと思います^^」

醸造蔵:香川県三豊市仁尾町仁尾丁337(※見学は要予約)
店舗:香川県三豊市仁尾町仁尾丁944
TEL:0875-82-2802
営業時間:8:00~19:00 年中無休(※臨時休業あり)
父母ヶ浜のカフェ「cafe de flots(カフェドフロ)」で海を眺めながらランチ

お料理に使われる塩も、父母ヶ浜の海水から店主の浪越さんが作っています。地産地消に取り組むお店、応援したくなりますね。」
仁尾酢の醸造所を見学したらすぐにでも味見がしたくなりました。
ということでランチにお邪魔したのがこちら「cafe de flots(カフェドフロ)」さんです。地産地消にもこだわりのあるカフェとしても知られており、ランチのドレッシングにも仁尾酢が使われているとのこと。
相変わらずここから見る父母ヶ浜の眺めは最高! 観光客が集まる駐車場周辺から少し離れた立地も、かえってゆったりできるからいいですよね。


この日のランチメニューはこんな感じ。私はいつもハンバーグランチを決め打ちなのですが、必ず数種類のランチメニューが用意されています。てか、自家製塩糀パスタって… めっちゃ迷う!

いつもどおりハンバーグにするか、それとも突然彗星のごとく現れた魅惑の自家製塩糀にするか悩んでいたところ、心優しい舘さんが「じゃあ、私がパスタにします!」と、最適解を示してくれました。
白身魚の自家製塩糀パスタ。

あっさりとしていて美味しそう! 今日はパスタにすればよかった…

それではさっそく仁尾酢入りドレッシングがかかっているサラダから。

ちなみにサラダを先に食べる「ベジファースト」は、血糖値の急上昇を抑え、生活習慣病や肥満の予防に効果があると言われていますが、そんなことよりとりあえず仁尾酢の味を確かめたい!
そこで仁尾酢入りドレッシングの味に意識を集中していただいてみたのですが、お酢そのものの味というより、野菜もひっくるめて全体が美味しい。利き酒ならぬ利き酢ができるほど舌が肥えてないので仁尾酢本来の味までは言及できませんが、既製品のドレッシングに比べて酸味の中にあるトゲドケしさが感じられないというか、舘さんの感想のように「まろやか」という表現がぴったりなのかもしれません。ほんと、野菜の美味しさを引き立てる良い酸味です。
自家製塩糀パスタも…
実はサラダに夢中になりすぎて舘さんの感想を聞き忘れたのですが、いつもより増し増しの笑顔だったのできっとチョベリグー(死語?)だったのでしょう。

そして、私の中では県内で一番おいしいかもしれないハンバーグランチ。デミグラスソースでいただくハンバーグそのものも美味しいのですが、添えられた野菜と一緒に食べるとほんとたまんない!

舘さんもよく来るという「cafe de flots(カフェドフロ)」さん。父母ヶ浜に来た時はぜひランチを食べてみて!
三豊市仁尾町仁尾乙165-1
TEL:0875-82-4525
営業時間:11:30~22:00(※ディナーはコースのみで要予約)
定休日:木曜日
以上、今回の現役CAの三豊ログ帳は、仁尾酢を中心にお届けしました。
お酢の酸味は食欲を刺激し、クエン酸が疲労の原因となる乳酸の分解を助けるため食欲増進や疲労回復に良いとされています。三豊に来て、風味豊かでまろやかな仁尾酢をぜひお試しください!
最後に舘さんから仁尾酢を使ったレシピの紹介です。


てか、舘さんの手料理食べたかった!
