ごくたまにですが、ガーカガワの記事を見た県外の読者さんから、例えばこんなお問い合わせをいただくことがあります。
「東京住みなのですが、父母ケ浜って電車で行けるんですか?」
電車というか、公共交通機関を使って行けなくもないのですが、高松空港からJR高松駅までリムジンバスに乗って、JRで詫間駅まで行って、そこからは… コミニュティーバスがあるよね、でも日曜祝日は運休…
やたらと面倒だし時間はかかるし、空港からレンタカー借りたらどうですかと提案したら「ペーパードライバーなので運転できません…」って、そう来たか~!
父母ケ浜に限らず、県内の観光地に公共交通機関で行こうとするとめっちゃめんどくさい。車だと1日あったらたっぷり周れるのに、電車・バスだとピンポイントで行くしかなくなる残念な状況ですよね。
これは旅行者だけの問題じゃなくて、香川に住む我々にも少なからず影響しています。交通が不便だから近県からの観光客はほぼ車でやってくるので、道路も駐車場もうどん屋さんも「なんでこんなに混雑するねん!」みたいなことになっています。幸いオーバーツーリズムというほど問題にはなっていませんが、連休などには局地的に不都合も出ているようです。
そこで今回紹介する観光タクシーの出番です。
空港からホテルまでドアツードアだし、行きたいところに合わせてオーダーメイドで行程を組んでくれるし、当日の天候に合わせて臨機応変に観光地を組みなおしてくれるし、地元のドライバーさんならではのおすすめもあったりするしで良いことずくめ。
しかも気になる料金も12月20日までは半額! これはおすすめしない手はないと思い、さっそくタクシー会社さんでお話を聞いてきました。
8時間コース利用でも1人あたり3,192円から。移動時間ですら思い出になる観光タクシー
今回紹介する「うどん県モニターツアー」は国土交通省の「交通・観光型連携事業」の補助を受けて実施しているもので、平成レッグス株式会社(平成タクシー)、有限会社ハロータクシーをはじめ香川県内の6つの交通事業者や観光事業者が協業し、2023年7月1日~12月20日の間行われているプロジェクトです。(もっと早く取材すれば良かった…)
ツアーでは、2時間、5時間、8時間の時間設定で、それぞれ複数のモデルコースを用意。申し込みの後、事前に個別にヒアリングを行ってくれるので、モデルコース以外にも自由に行きたい場所を伝えることも可能だし、逆におすすめの場所を提案してもらうこともできます。年齢や好み、バリアフリー対応など、旅行者に合わせてオーダーメイドでプランを設定できるのが観光タクシーの強みです。
今回は、そんな「うどん県モニターツアー」に特に力を入れている、高松市郷東町の平成レッグス株式会社(平成タクシー)さんにお邪魔してきました。
お話を伺ったのは社長の住谷さん(右)と、タクシー部本部長の芦田さん(左)です。お二人とも陽キャラ(笑)
ーー今日はよろしくお願いします。すでに7月1日から「うどん県モニターツアー」が始まっているそうですが、これまでのところお客さんの反応はいかがですか?
芦田さん「おかげさまで大変ご好評をいただいておりまして、実はモニターツアーは今年で3回目なんです。具体的なお客様の声はアンケートをいただいておりますのでご覧になりますか?」
差支えのない範囲で拝見したところ、主に以下のような声が届いていました。
・ドライバーの方がとっても親切で、アイディアもたくさん持っていて楽しかったです。
・地元の人が行くうどん屋さんに案内してくれて良かった。
・ていねいな運転で、いろいろ話してくれたので移動中も楽しかったです。
・自家用車で周ると分かりにくいところもタイムロスなく周れて、時間に余裕ができたので追加で周っていただいたのもよかった。
・観光先に案内してくれるだけでなく、博識なドライバーさんにいろいろ教えてもらって有意義なツアーでした。
などなど、ドライバーの応対に関することや、効率よくラクに周れることなど、観光タクシーならではの良さを感じていただけた声が目につきました。
ーーやはり県外のお客さんが多いのですか? 特に人気のコースはどこでしょうか?
芦田さん「県内の方も多いですが、やはり東京をはじめとした県外のお客様が多いですね。人気の場所は圧倒的に父母ケ浜です。それと高屋神社、天空のブランコで脚光を浴びている雲辺寺なども人気ですね。」
ちなみに、気になる料金はこんな感じ。思っていたより安くチャーターできるんだなという印象です。
8時間たっぷり利用しても1人あたり3,192円から。ちなみに、父母ケ浜の最寄り駅である詫間駅まで高松駅から特急で行くと1人往復3,480円でした。高松から父母ケ浜まで往復するだけなら、たっぷり夕日を楽しんでも5時間コースでも十分かも。
※高速道路代や各施設の入場料等は別料金です。
参考までにお昼前に高松を出発して人気コースを巡るプランを妄想してみると…
① 高松空港またはJR高松駅11:00出発 ⇒ 雲辺寺ロープウェイ着12:00すぎ。ロープウェイに乗って天空のブランコでインスタ映え!
時間に余裕があれば、古城のようなフォトスポット・豊稔池ダムに立ち寄ってもいいかも。
② 天空の鳥居・高屋神社へ14:30着(土日祝日はシャトルバス利用なのでもう少し時間がかかるかも)
その後、できれば一生忘れないレベルの瀬戸内海の絶景が見れる、紫雲出山(しうでやま)にも立ち寄ってもらいたいけど、時間的にちょっと厳しいかな… 第二駐車場からちょっと眺めるだけなら行けそうかな… ドライバーさん、どうでしょうか?
③ 父母が浜へ16:00着。今の時期は日没が17:00すぎなので、17:30頃まで夕日を楽しんで高松に戻れば19:00頃になるから8時間コースで巡れそうですね。疲れた体にはホテルまで送ってもらえるのは本当に有難い。
お体の不自由な方向けに、車いすのまま乗り込める福祉車両も完備(画像:ハロータクシーさん提供)。ヘルパー2級取得やユニバーサルドライバー研修済のドライバーも多数在籍しているので安心ですね。
ーータクシーを貸し切って観光するというのは高額なイメージもあって、これまでなかなか旅行者に浸透していないという側面もあったと思いますが、今後どのような展開をお考えですか?
住谷さん「まずは観光タクシーの利便性を知ってもらいたいとモニターツアーを開催しました。これはできればまた来年も行いたいと思います。実は先日、塩江のとある小さな旅館を利用させていただいたのですが、土地のものを使った野趣あふれる料理に感動しました。他にも香川にはあまり知られていないけどとても魅力的な観光地がたくさんあります。観光タクシーを通じて、そういった点と点を線で結び、香川の良さをもっと多くの人に知ってもらえるよう、いろんな取り組みを行いたいですね。」
また、ドライバーさんへの英語教育や翻訳ツールのポケトークを利用するなど、インバウンド対応も行っているそうです。
ちなみに僕が観光タクシーの魅力を感じるところはお酒が飲めることです。取材なんかに行くとあちこちで美味しいグルメがあって、「くっそー、ビール飲みてぇ!」と何度思ったことか。車の場合、自分で運転しなくても、運転する誰かに気を遣ってなかなかお酒までは飲めないんですよね。
そうでなくても、香川を巡る旅行にタクシーという選択肢をひとつ増やすだけで、いろいろ計画に幅が出てくると思います。ドライバーさんは地元のレアな情報も知っていたりしますので、旅のコンシェルジェ的な利用も良いかもしれません。
個人で公共交通機関を使って県内を巡ると案外費用はかかってしまうもの。つい、スポットで現地のタクシーを使ったりなんてことになるとさらに費用も嵩みますしね。最初から観光タクシーをチャーターした方がすべてお任せでOKなので、気分的にもラクですよね。これは意外とアリかも!
公式webサイトには他にもいろんなコースプランが提案されていますので、ぜひ一度ご覧ください!
⇒ うどん県モニターツアー