どうもスーツ隊です。
わけあって笑顔は見せませんが、いきなりまんのう町の塩入駅に来ております。
今回は、ここ塩入駅から3つ目の駅、県境をまたいで徳島県の坪尻駅に向かおうと思っております。
旅は道連れと申しますので、塩入駅で同じ列車を待っていたお遍路のおじさんと記念撮影。道連れのはずが、拉致しているように見えるのはこの際気にしないでください。
旅は道連れなので、「お遍路さんのフリをしてるけど、SPを4人も付けるなんて実は某国のVIPに違いない!」と思わせるサービスを無駄にさせていただきながら、12:04発阿波池田行きのワンマンカーに乗車しましたが…
ガラガラと思っていたのにまあまあお客さんが乗ってて、「なんか黒ずくめのアホっぽいやつらが乗ってきたw」とかツイートされても病むので、列車内では空気になることにしました…
車では行けないガチで秘境の駅!列車で行くのもそこそこ難易度が高い。
さて、公序良俗に反しない行動がモットーのスーツ隊が普通のサラリーマンっぽく擬態しているうちに、のどかな車窓を眺めながら今回訪れる坪尻駅について簡単に説明いたしましょう。
JR土讃線にある坪尻駅は、香川県境を越えて徳島県に入った最初の駅で、1929年に坪尻信号場として開設、駅としての開業は1950年となります。
元々は信号場だったところに近隣住民の請願により駅に昇格した経緯もあって駅につながる車道はなく、付近の旧国道32号線からは600mの険しい山道を歩かないとたどり着けません。
今では付近に人の住む集落も皆無で、停車する列車は1日わずか7本(上り4本、下り3本)、1日平均乗降者は2人(しかも、ほぼこの駅を訪れる観光客)という、そこに駅が存在するのが不思議なくらいの、まさに秘境の中の秘境駅なのです。
ちなみに鉄道マニアの間ではかなり有名な駅なんだそうで、確かにGoogleで「秘境駅ランキング」などで検索すると、上位にランクインしているサイトがゴロゴロ出てきました。
列車はのどかな田園風景を走っていきます。
そんなわけで気軽に車で立ち寄れる場所ではないですし、せっかくなのでJR線に乗って行くのがマストな場所なのですが、先にも書いたように1日に7本しか列車が止まらないので計画的に行動する必要があります。
時刻表を調べたところ、本執筆時点で香川県側から乗車するおすすめ列車は2本。山間部の谷に位置するので写真を撮るなら坪尻12:30着、1時間20分ほど滞在して坪尻13:52発で帰るのがベターだと思います。
ちなみにスーツ隊が乗車した塩入からだと運賃は片道260円。ワンマンカーなので、路線バスのように乗車時に整理券を取って、下車時に直接料金を運転手さんに支払います。
尚、今回はスーツ隊と撮影班など総勢6名だったので下車時にもたつくと迷惑だろうと思い、あらかじめ琴平駅で人数分の往復切符を購入しました。みどりの券売機だと琴平駅乗車以外の切符も買えるのでご参考まで。
なぜわざわざ塩入駅から乗ったのかは本ページ最後にネタバラシします。
そうこうするうちに県境の勾配となり、トンネルに差し掛かりました。
トンネルを抜けるとそこはお待ちかねの秘境の駅…
さぁ、サラリーマンに擬態するのはやめて、そろそろ降りる準備をするよ~
ん??
えっ… まさかの通過??
と思ったら、列車は本線から外れて引上線へ。
実はこれ、日本国内でもかなり珍しいスイッチバックという方式で駅のホームに入線するのです。
文章で説明してもピンとこないと思うので、図で説明すると…
勾配がきつくて通常のような停車ができない本駅には、多度津方面から進むとまず①の引上線に入線して停車します。その後運転手さんが進行方向とは逆の運転台に移動し、車両をバックで進めて②の坪尻駅に入線する仕組みです。阿波池田方面からは逆に先に駅に停車してから発車後にスイッチバックします。
全国から鉄道マニアが押し寄せるのも、秘境駅であることに加えて、この珍しいスイッチバックがあるからなんだそうです。
一瞬焦りましたが、無事坪尻駅に到着しました。
ありがとう~! ご苦労さま~!
気動車独特のエンジン音を轟かせて阿波池田に向かって走り去っていきました。
秘境の駅は空気の澄んだ、自然豊かな癒しの駅
帰りの列車まで約1時間20分、せっかくなので坪尻駅とその周辺を散策してみました。
まずは駅から。鉄道マニアをはじめ、意外と観光客が来るのと、観光列車である「四国まんなか千年ものがたり」が停車することもあって、秘境の駅の割には綺麗に整備されていました。
こちらは流行りのらぶらぶベンチ。
男同士だとぶらぶらベンチ(下ネタ禁止!)になりそうですが、BLも流行ってるので良しとしましょう。
使用済みの切符を入れるポスト(?)や秘境の駅のプレートなんかも「らしさ」が出ていいですね~!
ちなみに駅のトイレは閉鎖されています。付近は本当に何もないので、あらかじめ乗車前にトイレは済ませておきましょう。
スーツ隊も思い思いに楽しんでいるようです。
芸人かっ!(笑)
駅舎の中に入ってみましょう。
手作り感のある駅舎内部は、この場所をちゃんと管理し、守っている人がいるんだな… と感じ入ってしまう良い雰囲気。
駅に設置されている旅ノート(?)をめくると、全国からこの地に訪れた人たちの書き込みが。北海道から来ている人や、別の鉄道会社に勤めている人など、坪尻愛を感じるものばかりでした。
せっかくなので記念に取材ノートにスタンプを。
るんるん、へたクソ!!
さすがヒトミ姐さん。
この日は天気も良く、春本番のうららかな陽気です。駅舎を出ると、桜や菜の花、チューリップなども咲いていて本当に心地よい。
ただし、マムシがいるらしいのではしゃぎすぎに注意です。
駅の反対側に渡ってみましょう。
駅の隣には踏切があるのですが、なんと手動式。カンカンという警報音が鳴らないので注意が必要です。
列車通過時間が書かれているので、手元の時計と見比べて余裕をもって渡りましょう。
で、駅の反対側に出ましたが、うっそうと生い茂るけもの道のような山道があるだけ。
唯一ある廃墟も近寄りがたいオーラがびんびんなので、そそくさと引き上げました。
お腹もすいたので、誰もいない事ですし、駅に戻ってお弁当タイム。
何もないところだけど、耳をすませば鳥の鳴き声や、草木から漂うフィトンチッドが森林浴効果を出し、とってもリラックスしているのが自分でも分かります。
アンパンマン列車に手を振ってみたり、なぜか電車ごっこを始めてみたり、ついでにピンクレディーを歌ったりするのも、きっと森林浴効果のたまものでしょう。
そうこうするうちにあっという間に帰りの列車が来ました。名残惜しいですが、帰路につくことにしましょう。
なんだか今回はスーツ隊の遠足っぽくなりましたが、こういうのもたまにはいいかも。
読者のみなさんも、お弁当持って秘境の駅に出かけてみてはいかがでしょうか?
おしまい。
ーー おまけ ーー
実は塩入駅から乗車したのは、帰りに駅に近い菜の花畑に立ち寄りたかったからです。
「ひまわりの里まんのう」で、いちめんの菜の花が楽しめますよ~!
出演 = スーツ隊(エージェント・ミナミ、エージェント・ヒトミ、エージェント・ヤマワキ、エージェント・るんるん)、遍路のおじさん
撮影 = 原田伸一(ガーハラダ)