高松市内から高速道路を使って車で約2時間半、古くから松山の海の玄関口として栄えた三津浜が、ここ数年プチ観光地として注目を集めているらしい。
レトロな町並みが残る港町… これだけでも十分そそられるのですが、さらに最近では洒落たカフェや雑貨店などもオープンしているという。松山と言えば道後温泉なのですが、丸一日観光するならもう一カ所ぐらい立ち寄りたくなりますしね。
そこで今回は、そんなレトロな町並みが残る港町・三津浜を2時間ばかりゆるっと散策してみました。撮り歩きするのに最適な町だったのでぜひご覧ください。
三津浜商店街から三津浜港へ
三津浜は、古くから栄える瀬戸内海の港町。藩政時代には参勤交代に向かう松山藩の港として栄え、明治から昭和初期には海運の要衝として商業も大いに発展したといいます。最盛期には映画館や芝居小屋、競馬場に遊郭まであったそうです。
あの司馬遼太郎の名作「坂の上の雲」では、日露戦争の英雄・秋山兄弟や、明治の俳人・正岡子規が大志を抱いて三津浜から旅立つ場面も描写されています。
車で行ったので、ちょっとコインパーキングが少なくてドキドキしましたが、平日という事もあってか無事駐車でき、とりあえず散策の出発地として伊予鉄の三津駅からスタートです。
まずは三津駅の正面から続く三津浜商店街を散策してみましょう。いきなり宮前川に架かる橋がいい感じ。
私事で恐縮ですが、実は30年ほど前に仕事の関係でこの近くに2年ほど住んでいました。当時はまだアーケードがあった三津浜商店街(かつては三津浜銀天街と呼ばれていた)ですが、今ではそれも撤去され、パッと見た感じでは普通の路地のようにも見えます。
多分に漏れずシャッター街の様相を呈しており、平日ということもあってか人影もまばら。人気というじゃこ天屋さんは売り切れの札がかかり、アンティークなカフェは定休日… なんともタイミングの悪い時に来たと少々後悔しましたが、商店街自体は賑やかなアートが描かれていたり、可愛い猫がのんびりしていたりでとても愉快です。
商店街と交差する細い路地も、良い具合に生活感があってほっこりとします。もう随分前に廃業したような商店には銀のエンジェル?(笑)
古い町並みには欠かせない井戸。ここ三津浜商店街にも「辻井戸」という井戸が残っていました。江戸時代に御船手(船奉行)の御用水として掘られ、廃藩置県後は庶民の飲み水として昭和4年頃まで使われていたそうです。
レトロな町の雰囲気の中にところどころ日本家屋の古民家もあって、撮影スポットとしても申し分ない。この日はほとんど観光客らしき姿は見られなかったのですが、カメラを持った青年が撮り歩きしていました。
せっかくなのでどこかお店に立ち寄ってみましょう。少し商店街を三津駅方面に戻って、気になってたカフェスタンドにお邪魔しました。
ミツハマ芋天製造所さん。
元々は八百屋さんだった店舗を改装した、高知名物の芋天をオリジナルレシピで提供するお店。白い暖簾がオシャレ!
気さくなお兄さんが「こんにちは~!」と声を掛けてくれるだけでなぜか嬉しい。少しお話をしながら待つこと数分、揚げたての芋天が出てきました。(3個入り300円、5個入り400円)
それと、ホットコーヒー(500円)。
衣がサクサクで甘く、イメージとしてはサーターアンダギーの中にホクホクのサツマイモが入っているような感じ。これがほんと美味しくて、3個入りだと一人でペロリと食べてしまいそう。
ちょっと休憩したかったので店頭でいただきましたが、天気の良い日だと食べ歩きも楽しそうですね。月によって営業日が不規則だったりするのでお店のInstagram(@mitsuhama.imo10)でご確認ください。
おやつタイムの後は港の方へ向かって歩いてみましょうか。古い町家があったり、昭和初期の頃のような洋館が建っていたりと、相変わらず写真映えする町並みが続きます。
ここにも壁画アートが! 町の人たちが地域を盛り上げようと奮闘される様子が伝わって応援したくなります。
入り組んだ漁港の方に出るとたくさんの漁船が停泊していました。割とこういう景色も瀬戸内らしくて好きなんですよね。
ここには全国的にも珍しいものがあって、実は三津浜に散策に来た目的のひとつでもあります。
それがこの「三津の渡し」です。
対岸の港山までの約80mを繋ぐ渡し舟で、起源は1467年頃と言われています。運行時間は7:00~19:00で、利用者がいればその都度運行してくれます。なお松山市道の一部なので無料。
行って帰るだけなのにわざわざ乗せてもらうのも申し訳ないので乗船しなかったのですが、伊予鉄三津駅の隣り港山駅で下車して、この渡し舟を利用して三津に向かうのが観光客に人気のルートなんだとか。
そして、さらに北へ進むと視界が開けて瀬戸内海の風景が見えてきます。高松からも瀬戸内海の島々が見えますが、ここからの景色ものどかでいいですね。島が見える景色ってほんといいよな~。
フェリーの発着する三津浜港の手前には河津桜が綺麗に咲いていました。
ゆっくり撮り歩きをするなら平日、カフェや雑貨屋さんなどを巡るなら土日がおすすめです。
ついでに立ち寄りたい梅津寺
バブル世代にとっては聖地と言っても過言ではない場所、伊予鉄梅津寺駅。そう、あの頃の若者が感情移入しまくったトレンディードラマ「東京ラブストーリー」のクライマックスとも呼べるシーンでロケ地として使われた場所です。プライムビデオで見れるので気になる人は見てみて。
三津浜に来たついでに立ち寄ってみましたが、やっぱ海はいいっすね~!
という事で、今回は松山市の三津浜界隈を散策してみました。
香川県民の皆さんの中には、松山は行っても三津浜までは行ったことがない、そもそもそんな町があることも知らなかったという人も多いと思います。知らない町を歩くのってワクワクして楽しいですよ!
おしまい。
モデル = まい / Twitter @ec201804