
鉄道マニアならずとも一度は乗ってみたい観光列車。
JR四国にも3つの「ものがたり」列車が運行されていて、今回は前回の「四国まんなか千年ものがたり」に続いて、愛媛の瀬戸内海沿いを走る「伊予灘ものがたり」に乗車してきました。
前回が観光列車+貸切バスでめっちゃ楽ちんだったのと、記事自体も思った以上に好評だったので、それに味を占めての第二弾です。今回も旅行会社のトラベルビジョンさんが企画する、まるっとパックになったバスツアーの様子とともにレポートします!
絶景と話題の下灘駅に停車する観光列車と道後温泉観光を満喫する欲ばりツアー

という事でレポートは宇多津駅からスタート。今回もJTB総合提携店(株)トラベルビジョンさんが企画するバスツアーでお世話になります。
バスツアー自体は高松市内各地から乗車できるのですが、出発時間が早くてサンポート地下駐車場がまだ開いてなかったので、今回は宇多津駅周辺の駐車場に車を停めて参加することにしました。1日駐車して300円とか神!
旅の行程は、この後さぬき豊中に停車して一路愛媛県の大洲市へ。伊予大洲駅からJR観光列車「伊予灘ものがたり」に乗車して松山駅まで。ふたたび貸切バスに乗って道後温泉、母恵夢スイーツパークを巡って各地に帰着するというもの。ツアーの申し込みだけすればあとはすべてお任せの楽ちんツアーです。
途中休憩も挟みながらバスに揺られること2時間半ほど、早朝出発だったので良い具合に仮眠が取れた頃、観光列車の出発地である伊予大洲駅に到着しました。

レトロな駅舎が旅情を感じます。前回乗った琴平駅のような専用ラウンジはないのですが、田舎ののんびりとした空気に包まれた駅の雰囲気が驚くほど心地よい。ホームをまたぐ跨線橋からは大洲城の天守も見え、列車に乗るまでの待ち時間は十分楽しめました。



2014年に四国初の本格的な観光列車としてデビューした「伊予灘ものがたり」は、金・土・日・祝日に運行。松山駅~伊予大洲駅間1往復と、松山駅~八幡浜駅間1往復を走り、それぞれの時間帯に合わせた食事やデザートも楽しめます。
伊予灘の美しい夕日を感じさせるオレンジから赤のグラディエーションがかかった車体は、ひと目で特別な列車であることが分かります。


伊予大洲駅は松山から出発した1便「大洲編」の終着駅であり、我々の乗車する「双海編」の出発駅という折り返しになるため、清掃等も含めて29分間ホームに停車。3両編成の列車の外観を隅から隅までじっくり眺めるには十分の時間があります。
乗車前の記念写真もいい思い出になりますね!

清掃が終わって乗車開始されたようなので車内に入って行きましょう。

我々の乗車する1号車「茜の章」は、2人席と4人席、そして海側に向けたカウンター席というバラエティに富んだ車両。山側となる2人席は、テーブルがハの字となり、椅子も海側に向けて少し斜めに設置されているので伊予灘の車窓が無理なく眺められるよう配慮されています。
ふと見るとハロウィンの時期だからかリースやかぼちゃのディスプレイ。こんなちょっとした心遣いも嬉しいですね。
和モダンを感じさせる木をふんだんに使った内装が居心地の良さを想像させ、列車の旅への期待値を高めてくれました。


そして定刻の10:57、伊予灘ものがたり「双海編」が、駅員さんたちに見送られながら伊予大洲駅を出発しました。

しばらく大洲の街を眺めていると列車は次の駅である五郎駅を通過、駅長さんがめっちゃファンキーに見送ってくれました。かわいい!

さらに沿線の皆さんも! こういう歓迎ムードっていいですよね。お互い手を振り合うと、その土地の人と心が繋がったような気がします。
ちなみに沿線の人たちが書いてくれている「だんだん」とは愛媛の言葉で「ありがとう」という意味らしいです。ほんわりとした響きがいいですね。

五郎駅を過ぎると予讃線「愛ある伊予灘線」へ分岐します。ローカル線なので少々揺れますがそれもご愛敬、車窓から見える田園風景や肱川の景観がのどかに広がります。


そして「伊予灘ものがたり」のもうひとつのお楽しみである料理が運ばれてきました。この「双海編」では、地元の食材をふんだんに使った「内子杉の木箱で彩る和杉膳(わさんぜん)」です。

てっきり駅弁の豪華版みたいなものかと思っていたのですが、しっかりとしたお重がでてきて感動!
ゆっくりふたを開けると…


愛媛県産鱧の梅肉紫蘇揚げやサーモン花造り、白身魚の南蛮漬、栗の渋皮煮などなど、季節を感じさせる山海の料理が可愛く盛り付けされています。たくさんの料理をちょこっとずつ、こういうお弁当は大好物です!
どれも本当に美味しかったのですが、個人的には愛媛県産米「にこまる」を使ったローストポークのサラダ巻きがお気に入り。これ、どこかで売ってたら別で買いたいほどでした。
料理は季節に合わせて定期的に変わるそうなので、ぜひまたリピートしてみたいですね!


ちなみに別注文ですが、ソフトドリンクやアルコールなども豊富なのでお好みでぜひどうぞ!

食事をいただいている間にも沿線の人たちが歓迎してくれます。その都度アテンダントさんが放送してくれるので手を振りながら食事を楽しみました。

伊予長浜駅を過ぎるとここからの車窓は伊予灘の海と青い空がずっと続く区間に差し掛かります。まさにこの区間がハイライト、伊予市の高野川駅辺りまで20km近く海沿いを走ります。
車窓からの眺めはまさに絶景!

同じ瀬戸内海でもこの辺りになると島影も少なく、香川の景観とはまた違ったものがあります。

これだけ海沿いを長く走る区間もそうそうないと思います。何度か車で走ったことはあるのですが、鉄道は道路より高い場所を走るのでさらに景観が良いのです。
眼下を見下ろすと、透明度が高く、キラキラしていて本当に綺麗!

海だけじゃなく、漁港などもあって意外とバラエティに富む景観が楽しめました。

そして列車は、ここ数年海外からの観光客も押し寄せるほどの人気スポットとなっている下灘駅に到着、ここで約12分間停車します。


下灘駅については説明するまでもないと思いますが、JRの青春18きっぷのポスターに何度も登場し、映画のロケ地にも使われたことがあるほど有名なローカル駅。下灘駅のある双海町は夕日スポットとしても有名で、「日本の夕陽百選」にも選ばれているほど。近年はSNSでも話題となり、多くの観光客が訪れています。

ただ、当たり前っちゃあ当たり前なのですが、「伊予灘ものがたり」で来ると当然列車がホームに止まるので、写真でよくある駅のホーム越しの海(列車が止まっていない状態)を見ることができないのがちょっと残念。次の伊予上灘駅にも10分間停車するのだから、オプションでタクシー移動を付けるなど、ちょっと工夫できないものかなと我が儘な事をふと思ってみたり…
それでも、天気も良かったし潮風も心地よかったので、十分すぎるぐらい下灘駅を堪能させていただきました。

次の停車駅、伊予上灘駅ではめっちゃかわいい副駅長さんたちが出迎えてくれました。


ほかにも終着の松山駅に到着するまで、記念撮影用のプレートをアテンダントさんが持ってきてくれたり、

ツアーの添乗員さんがどこからともなく愛媛県のイメージアップキャラクター「みきゃん」ちゃんを連れて来てくれたりで(笑)、本当に親切にしていただきました。

終着の松山駅に到着したのは13:03、2時間余りの乗車でしたが、豪華観光列車から見る伊予灘の景色や地元の食材をふんだんに使った料理は感動もので、非日常を味わうにはもってこいの列車旅でした。


アテンダントの皆さんも愛想良くちょこちょこお声がけもいただいて嬉しかったです。大変お世話になりました!
愛媛に来たなら道後温泉にも立ち寄ってみたい!欲ばりさんも納得の日帰りツアー

昨年完成したばかりの新松山駅でしばし買い物&休憩タイムが設けられた後、ふたたび貸切バスに乗って移動します。
旧駅舎も取り壊しが始まったので、これが見納めになる事でしょう。

そして一行を乗せた貸切バスは道後温泉駅に到着しました。個人旅行なら市内電車を使うかタクシーでの移動になると思いますが、それに比べると何も考えなくて済むので気分的にも楽ちんでした。

道後温泉ではそれぞれが自由行動となります。1時間少々あるので急げば温泉にも浸かれるでしょうか? ただ、ちょっと気ぜわしいので温泉街をぶらつくことにしました。


商店街の路地裏に懐かしの射的屋さんがあったので腕試し。もっと体を乗り出して撃ってもいいのに、真面目な ななさんは正攻法で勝負して見事一発も当たらず散りました(笑)


観光客で賑わう商店街にはSNSで話題のお店も何店舗かあって、その中で何十種類もある中から自分で選べるぼっちゃん団子のお店や、みかんの品種ごとに作られたジュースを蛇口からカップに入れて購入するという一風変わったお店などにも立ち寄りました。道後温泉、めっちゃ楽しい!


そして2019年からの改修工事が昨年7月にようやく終わった道後温泉本館へ。

真新しい漆喰の壁などが少し違和感がありましたが、これも数年経てば馴染んでくることでしょう。
ほんの10年位前まではふらっと立ち寄っても本館の温泉に入れたものですが、今は入る人が多すぎてかなり待たされる事が多いそうです。どこもかしこも有名な観光地はオーバーツーリズムですよね…

そしてふたたび貸切バスに揺られて、東温市にある「母恵夢スイーツパーク」にも立ち寄りました。

「母恵夢スイーツパーク」は、愛媛の銘菓・母恵夢(ポエム)の工場見学をはじめ、焼きたてのプレミアム商品や限定商品なども購入できるテーマパークです。
工場見学では母恵夢が作られる様を可愛い世界観の中で見ることができます。まるで何かのアトラクションみたい!


ショップエリアには工場直売の母恵夢製品がズラリ! 焼きたてホクホクの生母恵夢や、期間限定のモンブラン味の母恵夢なども1個から購入してその場で食べることができます。

ななさんもついあれこれ購入してしまったようです。旅の終わりに良い買い物ができました。

以上、いつものように長々となってしまいました。
ちなみに今回のバスツアーの料金はひとり18,900円。値段だけを見るとちょっと高いと思うかもしれませんが、調べてみると「伊予灘ものがたり」に乗るのに食事代も入れて伊予大洲~松山間で9,480円、それと松山から伊予大洲まで特急で行くとして2,280円。さらに香川県各地から松山まで行く交通費などを考えるとそう変わらない。すべて楽ちんなのを考えると、むしろコスパは高いと言えます。
トラベルビジョンさんでは定期的に同様のバスツアーを企画されるようなので、チェックされてみてはいかがでしょうか?
⇒ トラベルビジョン
個人的にはまたもや楽しすぎて、ものがたりシリーズの最後の一つ「志国土佐時代の夜明けのものがたり」にも乗ってコンプリートしたくなりました。
ななさんもお疲れさまでした!

おしまい。
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モデル = なな
取材協力 = 株式会社トラベルビジョン
