その第2回目は、フリーランスでシステム開発をしながら、香川×テクノロジーがテーマのコミュニティ「UdonTech」を運営する水尾峻輔さんにインタビューしました。
高松市にあるコワーキングスペース「Setouchi-i-Bace」さんを舞台にして、そこに集まる面白いフリーランスの方を中心にインタビューするこのシリーズ。
起業を考えている人、興味を持っている人が結構いるようで、第1回目からかなりのアクセスを集めました。
その後、取材先などでも「参考になった」「自分と同じような境遇の人だったので勇気をもらえた」なんて声をいただいて、ちょっと有頂天になっております。
そんなわけで気分よく取材した第2回目なのですが、今回もまた面白い、夢のあるお話しが聞けたので、ぜひ読み進めてください。
人恋しさからIT系のコミュニティを立ち上げたら意外な盛り上がりに
今回お話をお聞きしたのは、坂出市出身で、東京のベンチャーでシステム開発などを約5年経験し香川にUターン。現在はフリーランスとしてソフトウェアエンジニアやプロジェクトマネージメントを行う傍ら、香川×テクノロジーをテーマとしたコミュニティ「UdonTech」を運営する水尾峻輔さんです。
システム開発的な話になるとプログラム言語で会話しないといけなくなりそうなので、僕の関西弁が通じるコミュニティの話題を中心にインタビューしようと思います。
ーー 今日はよろしくお願いします。僕は専門的な話は分からないので単刀直入に聞きますが、フリーランスのシステム開発って仕事は結構あるんでしょうか?
水尾さん「ええ、まあ…(笑) 自分の場合は前職からの仕事もありますし、プロジェクト単位でエンジニアさんなんかと協業したり、マネジメントなども行っています。一定レベルのエンジニアって意外と少ないので、仕事を探すよりエンジニアさんを探す方が大変なんですよ。」
ーー そういう話は聞いた事あります。エンジニアは引く手あまたなので、プログラムが書けたら食いっぱぐれがないって。コミュニティを立ち上げたのも、人材難を解消しようという事からでしょうか?
水尾さん「もちろんエンジニアさんと繋がりたいとか、育てていきたいという理由も少しはありますが、そもそものきっかけはまったく別の理由からなんです。」
ーー なんだかそれ、めっちゃ聞きたい!
水尾さん「今コロナでリモートワークが広まっていますが、『人恋しさ』っていうのがクローズアップされていますよね? それを僕は3年前に体験しました(笑)」
2017年に東京から香川に戻ってきて通勤ラッシュがないなど、のんびりとした生活に満足していたそう。
ところが、翌年にリモートワークで東京のスタートアップの仕事に従事するようになると、仕事は面白くて満足しているし、生活ものんびりとしていて悪くない、でも気が付けば家から出る事がほとんどない事に気づいたんだそう。
水尾さん「あれっ? 今日はスーパーのレジのおばちゃん以外と話したっけ? 幼稚園の先生と挨拶しただけじゃん? みたいに、他人と接する事がなくなった事に気づいて、やっぱり生身の人間との付き合いも大事なんだなと思いました。」
どうせ人と繋がるなら新しいものや技術を持った人など、同じ興味を持った人がいいと思い調べたそうですが、その当時は香川でIT系の勉強会やコミュニティがほとんどなかったと言います。
水尾さん「ある勉強会でたまたま旧知の人とそんな話をしていたら、結構そういう人いるよみたいな話になって。でも、香川県って乗っかってくる人は多いけど、自分から率先して何かをやる人って少ないという話を聞いて、じゃあ試しにやってみようかなと2019年の暮れに忘年会を行いました。」
ーー それでどうでしたか?
水尾さん「ITをテーマにした忘年会だったので、来ても5人か10人ぐらいかなと思ってたら40人も参加されて驚きました。やっぱ、おったんや!みたいな(笑)」
それはすごい!
人恋しさを解消するという意味では水尾さんの目的は忘年会で達成されたそうですが、せっかく40人も集まったので継続して意見を交換したり、飲み会をしたり、勉強会や協業でのプロジェクトなどもやりたいと欲が出てきたんだそう。
そこで、年が明けた2020年の初めからコミニュティをスタートさせ、メンバーともいろいろ盛り上がってあれこれやろうとしていたその矢先…
水尾さん「2020年の2月に新型コロナがやってきて、おいおいマジかよ… みたいな…」
多くのアイディアや技術を集めて、ITで香川を盛り上げたい!
メンバーの皆さんともいろんな面白い企画をわくわくしながら考えていたその矢先に起こったコロナ禍。オフラインでの行動にいろんな制約がかかる中、活動としてはどうしてもオンラインでの交流会になってしまうのですが、やはりオンラインだとその熱量も5分の1、10分の1に。ただ、せっかく盛り上がった火を絶やしてはいけないと、この状況下でもやれる事をやっているそう。
水尾さん「今だと、月イチでオンライン飲み会をやっているのと、毎週月曜日に『もくもく会』という勉強会をやっています。」
ーー そろそろコロナも落ち着く気配を見せていますが、そろそろウズウズされているのでは?
水尾さん「ついこの間、もう2年近くぶりにオフラインで飲み会をやりました。様子を見ながらですが、しばらくはいろんなイベントを続けていきたいですね。明日もエンジニアのプレゼン大会やるのですが、これが結構人気の勉強会なんですよ。」
ーー ITに興味のある人にとっては魅力的なコミニュテイだと思うのですが、逆に技術はないけどアイディアがあるみたいな人にとっても楽しそうですね。
水尾さん「そうなんです。むしろ、そういう人の方が有難いです。エンジニアって、技術はあってもそれをどう生かすかが分からない人が多いので。」
ーー 僕なんかも年に何度かはこんなシステムがあったらいいのにとか、こんなwebサービスがあったらいいのに…というアイディアは浮かぶのですが、それを形にする技術がないのでもどかしいと思ったことはあります。
水尾さん「そんな時こそコミュニティに投げてもらうと、こんなふうにやればいいよとか、一緒にやろうよみたいな流れになると思います。」
アイディアのある人、技術のある人、ただ見守りたい人(笑)、いろんな人が繋がる事で面白いプロジェクトに発展する可能性も考えると、めっちゃ夢のある取り組みですよね。
水尾さん「それらがお金になれば仕事としてコミットも増えますし、技術力も上がってきます。お金にならないものは趣味として楽しくやればいいと思いますしね。例えばSetouchi-i-Baseさんを通じて知り合ったアーティストの方などは、その人の取り組みが面白そうで、お金もらわなくても何かやりたいって思いましたもんね。」
前回も同じようなキーワードが出ましたが、起業するという事はお金だけじゃないんですよね。むしろ、稼ぐことだけしか頭が回らない人で長く事業を継続している人は僕の周りにはいないですもんね。
ーー ちなみに、Setouchi-i-Baseさんを利用されているのも人との出会いがある事が大きいのですか?
水尾さん「先ほどのアーティストの方のような、人を繋いでいただけたり、イベントなども開催していただいたり、人と場所が事業を行う上で大きな力になっていますよね。Setouchi-i-Baseさんを拠点に、香川をITで盛り上げていきたいですよね。」
ーー うまく繋いでいただいてありがとうございます(笑) 最後に、UdonTechさんがこれから目指すところみたいなのがあれば教えてください。
水尾さん「そうですね、今のところ飲み会や勉強会は開催できているので、それらを継続しながら、アイディアをプロジェクトとして行っていく取り組みもぜひやっていきたいですね!」
ITをテーマとし、技術者だけでなくアイディアを持った人たちも巻き込み、活動するコミニュティUdonTech。Facebookのグループにはすでに200名ほどの登録があるそうです。
こと香川県に関して言えば、webやITの分野ではあまりパッとする印象がないのですが、水尾さんのようなITで香川を盛り上げようとする人たちが今後増えてくると何か面白い事になりそうな予感がします。
技術のあるなしは問わないそうなので、ITに興味のある人はコミュニティを覗いてみてはいかがでしょうか?
⇒ UdonTech のFacebookグループ
⇒ Setouchi-i-Base公式サイト