いつの時代も年長者から見る若者たちは頼りなく映り、「まったく、最近の若い子らは…」なんてボヤキが聞かれることも多いですよね。その一方で、取材等を通じてそういう若者たちがしっかりとした意志を持って地域を盛り上げようと活動する姿も多く見てきました。
今回密着しようとしている「チーム善通寺2050(仮)」も、そんな期待感を持つプロジェクトです。
「なんとなくインフルエンサーや情報発信に興味がある」「先生や友達から誘われてちょっと面白そうだと思った」という若者たちがどう成長し、地元善通寺市を盛り上げていくのか? ある程度長期的な密着取材になるのかなと覚悟をしつつ、でも個人的にはかなり楽しみな本プロジェクトを追っかけてみたいと思います。
その密着取材第1回目は、本プロジェクトを始めるきっかけとなったワークショップの模様と、事実上の発足となった情報発信のための第1回ワークショップの模様をレポートします。
きっかけは、地元の大学生・高校生を集めて行ったサステナブルをテーマにしたワークショップだった。
去る2022年8月23日と24日に旧善通寺偕行社を会場にして、「学生が考える善通寺市の今と未来 サステナブル善通寺2022ワークショップ」が行われました。
このワークショップは善通寺市が目指す「2050年のゼロカーボンシティの実現」に向けた事業の一環で、次世代を担っていく高校生と大学生を対象に善通寺市ゼロカーボンシティ推進協議会事務局が主体となり、企画運営をカーボンフリーコンサルティング株式会社(本社・横浜市)が行ったものです。
参加校は、善通寺市内にある尽誠学園高校、善通寺第一高校、四国学院大学の生徒計27名。脱炭素に対する理解を深め、さらに善通寺の未来のあるべき姿を考えていくのが本ワークショップの狙いです。
まずは、カーボンフリーコンサルティング株式会社の池田さんより、地球温暖化や持続可能な世界を目指した様々な事例や取り組みがレクチャーされました。
そして、それを受けて7つのグループに分かれて「脱炭素や善通寺の次世代のためにやってみた方がいいこと」「実現を目指すアイディア」などについて話し合われました。
三豊市出身で、今は横浜に住むスタッフさんに「どうして香川を出たんですか? なんで帰ってこないんですか?」と鋭い質問を投げかけたり、そう言いつつも高校を卒業したらどうするのと聞くとグループメンバー4人全員が県外の大学を受験するという現実に「なんでやねん!」とツッコんでみたりと場の雰囲気も上々です。
高校生の回では、善通寺市の良いところ、好きなところという洗い出しで以下の意見が聞かれました。
・自然が豊か
・お寺が多い
・静かで心地よい
・図書館や市役所が新しくてきれい
・昔ながらの家がたくさん残っている
・大きな病院や自衛隊があり安心 など
反面、善通寺市の問題点もいろいろ出てきて、それに対する改善点なども話し合われました。
【問題点】
・空き家が多い
・遊び場が少ない
・商店街がさびれている
・学生が働きたいと思う仕事が少ない
・若者が少ない
【改善点】
・そもそも人口が減少し、観光客や移住者が少ないのが原因では?
・人口が増え、観光客も増えれば経済も潤いインフラも整えられる。
・将来に向けて持続する街を目指すためには、まず善通寺市の魅力を発信して広める必要があるのではないか。
というような意見が出ました。
また、大学生の部でも同様のテーマで話し合われましたが、やはり高齢化や過疎化に起因する問題点が提示され、それを解決するためには、より魅力的な街づくりを行いながら外部に広報していく必要性があるという意見が多く出されました。
善通寺市街から通う生徒さんも多かったのでピンと来ないかなと思っていましたが、ひとつ意見が出ると堰を切ったようにさまざまな意見が出され、我々大人が思う以上に高校生・大学生たちは地元の将来について不安を持ち、なんとかしなければという気持ちがあることに驚きました。
そして、善通寺の魅力を広く発信する「チーム善通寺2050(仮)」始動へ!
そして、ワークショップ「サステナブル善通寺2022」で出された未来志向のアイディアを受けて、その中で意見の多かった「善通寺市の魅力を情報発信する」についての具体的なアクションです。
「チーム善通寺2050(仮)」とは具体的にどういう活動になるのかと言うと、地元の高校生(尽誠学園高校、善通寺第一高校)たちがチームを組み、自ら取材をし、情報発信していくというもの。
方法としてはYouTubeやSNSなども駆使しながらローカルメディア(例えば本誌ガーカガワのようなメディア)を核として運営されます。「サステナブル善通寺2022」と同様、善通寺市ゼロカーボンシティ推進協議会事務局とカーボンフリーコンサルティング株式会社がバックアップしますが、あくまでも運営主体は地元の高校生たちになります。
ただ、いきなりローカルメディアを自主運営しろと言っても彼らには当然そのノウハウがありません。
そこで、情報発信を行うための基本的なスキルやノウハウを学んでもらおうと、全4回のうちの第1回目が善通寺市役所会議室で行われました。
第1回目の内容は、本事業の開催趣旨や概要の説明と、具体的に何をしていくのかを高校生たちとすり合わせる回です。
実はガーカガワも成り行きで、普段行っている編集部としての手法などをレクチャーすることになりまして、密着取材をしながら首を突っ込む形となりました。
僕としては、大きなくくりとして善通寺市を盛り上げるという趣旨は当然理解していますが、それよりまずはそれにかかわる高校生自身の動機付けや、広報スキルを身につけるメリットを感じてもらいたいと、少しお話をさせていただきました。
その後のブレストタイムでは、軽く頭の体操として、これから自分たちで運営するローカルメディアのサイト名を軽く考えてもらいました。
まぁ、メディアの方向性やコンセプトなどが決まらないうちからサイト名を考えるなんて順番が逆なのですが、とりあえず名前を考えてもらうことで実感として意識するには良かったと思います。サイト名についてはまたあらためて話し合われることでしょう。
ブレストタイムの中では好きなアイドルやフォローしているSNSの話が出たり、実はイラストが得意なんですみたいな、情報発信をするうえで今後のヒントになるような雑談も出てきて、少しずつ高校生たちの間でも実感ややる気が出てきたのかなと感じました。回を重ねるごとに彼らの個性も出てきて盛り上がっていくような予感がします。
自治体の事業として高校生が情報発信していくという事例もほとんど耳にしないので、今後どのような動きになるのか本当に興味が出てきました。
地元善通寺の市民の皆さんも彼らを暖かく見守り、なんなら積極的に協力いただけるような地域ぐるみの事業に発展するといいなと思います。
次回は、取材体験として、実際にスマホを持ってお隣の旧善通寺偕行社を訪れます。
高校生たちがどう考え行動していくのか、乞うご期待です!