地域活性化と文化・芸術の再興を目的に、現代サーカスと伝統芸能がコラボする「ヌーヴォー・シルク・ジャポン」。
昨年は栗林公園で開催し好評を博した同公演ですが、今年は玉藻公園内の重要文化財「披雲閣」を舞台にヌーヴォー・シルク・ジャポン2021 in 披雲閣『ハナゴロモ』として、12月10日~12日の3日間限定で開催されます。
公演に先立ち、メディア向け公開ゲネプロ(通しでのリハーサル)が行われましたので、その模様をリポートします。
現代サーカスと能楽が融合した回遊型公演「ヌーヴォー・シルク・ジャポン2021 in 披雲閣『ハナゴロモ』」
今年の「ヌーヴォー・シルク・ジャポン」は、世界最古の舞台芸術である「能楽」と現代サーカスとの初めてのコラボレーションです。
玉藻公園披雲閣を舞台に、シルク・ドゥ・ソレイユ登録アーティストなどによる空を舞うような演舞と、能楽「羽衣」が共演。能楽は公益財団法人梅若会の現当主・五十六世梅若実氏の監修のもと、香川県出身の女流能楽師・伶以野陽子氏が演じます。
公演は披雲閣内の4つのシーンに分かれ、能の「羽衣」を土台にオリジナルストーリーを加えた創作「ハナゴロモ」が展開されます。ゲストはストーリーを追うように披雲閣を移動しながら各シーンを観覧する仕組みです。
シーン1は、野外ステージ。
漁師の白龍が、浜辺で恋人と幸せな日々を過ごしていた時、えもいわれぬ美しい羽衣が天から降りてきます。
披雲閣内の杉の間に移動して展開されるシーン2は、天女の嘆き。
天から降りてきた美しい羽衣は、実は若い天女が落としてしまったものでした。
続いて舞台は松の間のシーン3と続きます。
天女の葛藤と題し、羽衣がないと天上界に戻れない天女の葛藤を表現します。
そして、大書院に場所を移してのシーン4、いよいよ物語のクライマックスです。
能の「羽衣」では、羽衣を拾った白龍が「天上の舞楽を見せてくれれば羽衣を返そう」と天女に話し、天女は美しい舞楽を舞うわけですが、オリジナルストーリーとは少し違ったアレンジがなされているようで…
ガチで能楽なんて見たのはいつ以来でしょう… これには思わず見とれてしまいました。
若干ストーリー的な解説はあるものの、ほぼ静寂な中で演技は進んでいきます。演者さんたちの息づかいを感じたり、躍動感あるパフォーマンスに心を奪われたり、観る人それぞれにいろんな印象を残す演出のようにも感じられました。
今回は報道陣向けに撮影が許されましたが、本当に一瞬たりとも目が離せないので、実は途中から撮る事より観る事に集中する事にしました。もちろん要所要所では撮影しましたが、つい撮る事を忘れてしまうほど見惚れてしまったというのが本音です。
本当は詳細なレポートをしようと意気込んでたのですが、無粋な解説なんて必要ない。それぞれ皆さんが先入観なしで観覧されて、思い思いに感動を味わってほしいと思いました。
主催者である瀬戸内サーカスファクトリー代表理事の田中さんは、伝統芸能である能楽と現代サーカスをどう融合させるかという事と、今回の舞台である披雲閣でどのような演出を行うかでかなり苦労されたそうですが、普段馴染みのある披雲閣がどのような表情を見せるのか、ぜひ皆さん楽しまれてくださいと語ってくれました。
実は田中さんとは面識があるので「ガーカガワっぽい写真をお願いしまーす!」という無理筋に快く応えていただきました(笑)
ヌーヴォー・シルク・ジャポン2021 in 披雲閣『ハナゴロモ』は、12月10日~12日の3日間限定で開催。先ほど公式サイトを確認すると、本執筆時点ではまだ若干チケットに空きがあるようです。
現代サーカスと伝統芸能が融合した世界観をぜひ味わってください!