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私ごとですが、今月誕生日を迎え27歳となりました。
たった一年、されど一年。
「26才」と「27才」では色々と変わるなぁと感じます。
(昨年も思った気がするけど)
特に、顕著になったのは「結婚(男女交際)」に対しての他者からの眼。
「御結婚の予定は?」
そう問われる頻度が25歳を過ぎて圧倒的に増えた。
今の時代にあまり言ってしまうとハラスメントだなんだと突っ込まれてしまうかもしれないけれど、まだまだ結婚はして当たり前という風潮は強い。
そして、私の場合は年齢に加え「僧侶」という立場がある。
「後継が必要」という先入観と「お坊さんの恋愛事情」という禁忌感も興味を惹かれるポイントかも知れない。
これを「個人的な話なので」と一蹴することは簡単だが、しかしよくよく考えてみれば、私の属する浄土真宗は「結婚」を公に認めた初めての宗派である。
それに伴い、ご開祖である親鸞聖人も結婚について沢山の言葉や教えを残されているのだ。
(めっちゃ悩んだんだろなぁ)
というわけで、私も真宗僧侶の一人として親鸞聖人に倣い「結婚・恋愛」というものについて、一つ向き合ってみよう。
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そもそも私は、一番恋愛を学ぶであろう学生時代を引きこもって過ごしていた。
しかも、高校時代に出会った人に言われた「二十歳になったらまた会おうね」を馬鹿正直に信じ、大学時代まで片想いし続けていたような拗らせ女子である。
そんなこんなでクソみたいな男に引っ掛かり続け、大した恋愛もして来なかった私だが、20代の半ばだろうか。その当時、ちょっと良い関係にあった相手との体験は私にとって転機となった。
その人とはなんやかんやあり、半年くらいで別れを迎えた。
別れ方が結構辛いものだったので、正直トラウマレベルのショックだった。
それまでこういう辛いことが起きた場合、私は「相手を嫌う」ことで自分を慰めてきた。
「相手がクズだから上手くいかなかった」のだ…と。
なので、今回もそうしようと試みたのだが…何故だろう。
この時だけは「嫌いたくない」という心が生じてしまった。
それは、僧侶としての活動で得た「嫌わずにいられる幸せ」による心境の変化だったのかも知れない。
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それから私は、恋愛に限らず「嫌わずにいる」努力へ励むようになった。
辛い記憶がフラッシュバックした時は幸せだったことを思い出すように、嫌なことがあった際には良い思い出を上書きするように試みた。
写真や日記には嬉しかったことを遺すようにして、よろこぶ心を反芻した。
そんなことを重ねていくと、次第に辛い出来事も「良かった」と想えるようになった。
痛みに堪える日々は辛く苦しかったが、しかし「この傷のおかげで気付くことができた」学びとよろこびも、また沢山あったのだ。
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行者宿報設女犯
我成玉女身被犯
一生之間能荘厳
臨終引導生極楽
『女犯偈』
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これは親鸞聖人が29才の頃、比叡山での修行を終えた後に六角堂という御堂で受けたとされる夢告である。
意味は↓
もしあなたが僧侶でありながら女性と交わる事があったとしても、それは私(観音菩薩)が女性の身となってあなたに抱かれましょう。
そして一生の間、あなたとともに生きて、あなたの臨終においては必ず極楽浄土へ導きましょう。
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結婚のように、他者と縁を結ぶことはお互いに要らぬ苦労を負わせ合う行為でもある。
一人で居れば負わずに済んだ「喧嘩・離別・浮気etc…」といった、様々な過ちを犯し合うことになる。
そこでは、相手だけでなく自分の見たくない姿を多く目にすることになるだろう。
しかし、自身の愚かさを知ることは他者の愚かさを許す心にも繋がり、知れば「気に食わない」と切り捨てかねない事柄にも善処の心が湧いてくるだろう。
それが、ひいては己のよろこび・安心につながってくるのだ。
故に、自身の愚かさを映してくれる鏡のような存在は何よりも有り難く、親鸞聖人はそんな自身の伴侶を「菩薩の化身」として尊敬した。
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文明も政治も人間関係も、全てはトライ&エラーの積み重ねである。
しかし、現代では快適さを求めるあまり失敗の苦労を避け続け、世の中は「転び方・起き上がり方」を忘れてしまった。
一度失敗したら終わり。
喧嘩をしたら仲直りは出来ない。
そんな今だからこそ、親鸞聖人のいう結婚のような「犯し合う関係」は私たちの救いとなるかも知れない。
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大きな信頼と甘えを持って、安心して転べる世界。
「give」「利他」といった「貸しを作る」優しさではなく、自利利他円満の「借り合える」懐を紡いでゆこう。
そうして、男女を問わず一生を共にできる伴侶に出遇えたなら幸せだと思う。
▽告知▽
企画展さぬきアートプロジェクト
⇒ 「Beyond the eyes 愛してやまない気まぐれな動物たちの物語」
妙晶がコーディネーターとして協力した企画展が高松市石の民俗資料館にて好評開催中!
全国的に活躍する造形作家:岡山富男氏の代表作「キリン」「ブタ」たちがコタツでくつろいだり箒で空を飛んだり、まるでジ○リの世界へ紛れ込んだよう。
箒を使って作品と共に空を飛んだような写真が撮れる撮影スポットも用意されています。
老若男女問わず楽しめる展示、どうぞお越し下さいませ。
■開催期間
2022年1月8日(土曜日)から2月13日(日曜日)まで
■会場
石の民俗資料館 企画展示室、エントランスホール
■観覧料
一般:200円(160円) 大学生:150円(120円) 高校生以下:無料
※( )内は20人以上の団体料金
※65歳以上の方は、長寿手帳等年齢を確認できるものの提示で観覧料免除
※身体障害者手帳、療育手帳又は精神障害者保健福祉手帳所持者は、手帳提示で観覧料免除また、障害者手帳アプリ「ミライロID」の提示でも免除
※高松市キャンパスメンバーズ制度に加盟した大学等の学生は、学生証提示で観覧料免除