瀬戸内海の景観や豊かな食に魅了されて移住してきた 舘 咲奈(たち さきな)さん。普段はANAの客室乗務員として働きながら、大好きな三豊市の観光振興にも携わっています。
そんな舘さんに三豊市のお気に入りを紹介してもらう「現役CAの三豊ログ帳」、今回も舘さんがたっぷり原稿を書いてくれたので編集部の解説も交えながらお届けします。記事の最後には、手書きのフライトログブック(ログ帳)も書いてもらったのでお楽しみに!
あえて瀬戸芸外し? 粟島でゆったりとした時間を過ごそう!
粟島へは、三豊市詫間町の須田港から粟島汽船に乗船して15分の距離で、1日8往復運航されています。運賃は片道330円(おとな)で、須田・粟島両港とも待合所に券売機があるので片道ずつ購入できます。
須田港まではJR詫間駅から路線バスを利用。須田港に無料駐車場はありますが、満車になるのが早いのでご注意を。
⇒ 粟島汽船のご案内(三豊市ホームページ)
島に着くと、港周辺ののどかな風景がいきなり心を癒してくれます。
港には可愛いブイが。注意して歩くと、島中にこんな愛嬌のあるブイが転がってたり浮いたりしていて、これだけで心が和みます。
しばらく来ないうちにレンタサイクルの看板娘(?)大口しま子ちゃんもリニューアル(笑)
県内で盛り上がりを見せる瀬戸内国際芸術祭2025。でも、混雑が苦手な人にはあえて瀬戸芸が行われていない島でゆったり過ごすという選択もありかも。(※粟島は秋会期のみ開催の島です)
粟島にもいろんなアートがありますしね。瀬戸芸目当てに連泊される方も、ほっとひと息できる島をコースのひとつに入れるのもいいかもしれませんね。
これまでは徒歩かレンタサイクルだけだったのですが、数年前から島内を巡る粟島グリーンスローモビリティが運行されています。せっかくなので粟島港からちょこっと乗ってみましょうか。
粟島グリーンスローモビリティ
舘さん「環境に優しい電気自動車で西浜までドライブ。地元の気さくな運転手さんに島を案内して頂きながら西浜海岸まで乗車しました。時間によっては島一周ルートもあるようです。観光名所を巡る事が出来るので是非ご乗車ください。」
ゴルフ場のカートを大きくしたような「粟島グリーンスローモビリティ」は、月・水・金・土曜日の週4日運行(※祝日、12/29~1/3、強風などの悪天候の場合は運休)されていて、運賃は1回乗車100円。ただし、本来は島民の足として運行されているので、利用は島民の方を優先に! 三豊市民以外は1日乗車券(500円)のみの販売となります。
1日3便、島の端から端まで運行されていますが、ちょうどタイミング良く乗れそうなので、西浜まで利用することにしました。
舘さんも言われているとおり、気さくな運転手さんが島の事をいろいろ話してくれて、それにたまたま乗り合わせた島のおばあちゃまがちょいちょい話に加わってとってもいい時間。こういう土地の人との会話って旅の思い出としてずっと残ったりするんですよね。
歩けば約20分の距離ですが、グリーンスローモビリティだとあっという間の5分。舘さんもめっちゃ楽しそうでした。
午後便にもう1回乗るつもりだったので「また乗りますね!」と言いつつ軽く挨拶したのですが、結局この後いろんな人とふれあううち時間が来て乗れなくなってしまいました。また粟島へ行った際はぜひお世話になります。
西浜海岸
舘さん「夕日の綺麗さで名を馳せている、西浜海岸。漂着物が非常に多く、シーグラスやサクラガイなどの貝殻を拾う事ができます。シーグラスで遊んでみました。」
この日はあいにくの空模様だったのですが、晴れた日は透き通った海が美しい西浜海岸。後で紹介する漂流郵便局とともにテレビドラマ「ミステリと言う勿れ」のロケ地にもなったので、聖地巡礼に来た人もいるかもしれませんね。
舘さんがシーグラスを集めてくれたので、ライトを当ててキラキラにしてみました。
時間の都合でなかなか夕日まで見ることができていないのですが、舘さんも勧めてくれたのでまたいつか夕日を狙ってみたいと思います。
そして帰りは歩く事に。ちょっとした峠道を歩くのですが、生い茂る樹々が美しくてまったく苦になりません。その代わり運が悪ければ閲覧注意な子たちと遭遇してしまいます。
苦手な人もいると思うのでこれ以上アップにはしません。頭上の枝からスルスルと閲覧注意な子が降りてきて、わりとたくさんブラブラしているのでご注意ください。
それでも、閲覧注意な子たちのトラップをかわすと雰囲気の良い神社があったりするので歩いていくのも悪くはないのです。
集落まで戻ってくると、キンセンカやマーガレットが綺麗に咲いていました。
ここまで来ると閲覧注意な子はいなかったので(多分…)ご安心ください。
漂流郵便局
舘さん「2013年の瀬戸内国際芸術祭の作品である漂流郵便局。ここは全世界から、誰かに届けたい想いを預かってくれる郵便局です。来場者は、実際に届いた手紙を読む事ができ、誰かの届けたかった、届かなかった想いに寄り添う事ができます。
残念ながら、開局日ではなかったのでまた来ます。」
開局日は毎週土曜日の13:00~16:00(不定休)。人によってはスピリチュアルな感想を抱く、ちょっと不思議な郵便局。本来の郵便局としての役割はとうに引退しているのですが、人々のいろんな思いが漂着する郵便局になっています。
次は土曜日を狙って伺うとして今回は外観のみ。若干後ろ髪を引かれつつ、次のポイントに向かいましょう。
瀬戸内の島にはなくてはならない住民、島猫たちが集まってきました。
香川では佐柳島や男木島などが猫の島として知られていますが、瀬戸内の島には必ずと言っていいほど島猫たちが暮らしています。以前別の島の漁師さんから聞いたのですが、島の猫たちは漁に使う網などに害を及ぼすネズミを駆除してくれる存在として、昔から人とうまく共存していたそう。
最近では観光客などが安易にエサを与えて猫が増えすぎてしまうという問題も出ていますが、エサを与えなくてもここまで人懐っこいのは人とうまく共存している証かもしれませんね。
ほんと、とにかく可愛い!
梵音寺(ぼんのんじ)のタブノキ
舘さん「志々島は、大楠で有名ですが、粟島には力を頂ける大きなタブノキがあります。」
いったん海沿いに出て、今は改修工事中の「粟島海洋記念館」を過ぎて右に曲がっていくと、香川県指定の保存木「梵音寺のタブノキ」があります。志々島の大楠ほどではありませんが、空一杯に広がる圧巻の巨木です。
各地にある巨木には、その生命力の強さからパワースポットとして知られるものが多いのですが、このタブノキもなんだか力を与えてくれそうな雰囲気をまとっています。静謐な空気に包まれる神秘的な空間をぜひ体験してみてください。
あわろは食堂
舘さん「念願だったあわろは食堂さん。
沖縄に20年通い続けるご夫婦の“好き”が詰まったなんとも可愛らしいお店です。私自身も沖縄が大好きで、やちむん(沖縄の陶器)や沖縄料理を好んでおり、三豊市で沖縄溢れるお店に出会えてとてもワクワクしました!」
海沿いの道のところどころにある「あわろは食堂」と書かれたファンキーなコンクリートブロックに導かれてしばらく歩くと、これまたファンキーな佇まいの小さなカフェにたどり着きました。
店内に入るとめっちゃトロピカル! 舘さんの紹介のとおり、沖縄からワープしてきたようなお店です。
正面に瀬戸内海を眺めるカウンターも最高! 晴れた日ならもっと気持ちの良い景色なのでしょうが、こんな靄のかかった幻想的な海もいいものです。ほんと、ここは香川なの?(笑)
舘さん「今回は、日替わりロコプレートを頂きました。なんとご飯の形が粟島なんです。。。!」
舘さん「タコや牡蠣を養殖する漁師さんご夫婦が作るお料理は、何を食べても絶品。地元の素材を活かし、丁寧につくられています。お料理のこだわりを沢山教えて頂き、より美味しく感じられる時間でした。」
ちなみに私は「お素麺と季節野菜の天麩羅」をいただきました。
素麺にのっかっている海ぶどうが沖縄っぽい!
漁師も兼業されているオーナーさんが獲ったというタコの天ぷらが、しっかりとした歯ごたえでほんと美味しい! 関西出身の私の中では明石のタコが基準なので、そこそこのタコでは満足しないのですが、これはほんまもんでした。
舘さん「話はそれますが、ANAは高松~那覇間を毎日1往復しています。あわろは食堂さんに訪れ沖縄に行きたくなった方、ご搭乗お待ちしております(笑)」
いや、ほんまそれ!(って、告知かいっ!)
三豊市詫間町粟島1619
TEL 090-3181-8360
営業時間 11:00~17:00(それ以降21:00までは要予約)
営業日 本年度は4月26日~11月9日までの金・土・日・祝祭日
風待港(Galleryあまた)
最後にお邪魔したのは、あわろは食堂さんからさらに30~40mほど先に行った場所にある「風待港」さん。元々建っていた古民家を活用した休憩処とギャラリーです。
舘さん「こちらは粟島に新しくできた観光スポット。西浜海岸の漂流物シーグラスがドアに埋め込まれており、粟島らしさ満点ですね。」
舘さん「隣接するギャラリーでは、季節によって変わる美術作品が展示されており、いつ来ても新しさを感じることができる場所です。」
この日展示されていたのは、シーグラスでの作品作りを行うMITSUHOSHIさんの作品。
ギャラリーからは切り取ったかのような瀬戸内の海と空。
風待港も古民家の味わいをそのまま生かしたほっとする空間。大阪在住のオーナーさんが縁あってこの空き家にめぐり合い、地元香川だけでなく関西からの仲間とともに手作りでリノベーションされたそう。
先に立ち寄ったあはろは食堂さんからお聞きして急遽やってきたので、実はほんの少しお邪魔するつもりだったのです。それがこの居心地の良い板間と、楽しい話が途切れないオーナーさんとの会話が楽しくて、
舘さん「サイフォン式のこだわりのコーヒーを頂きながら、お喋りが止まらず船の時間までお世話になりました。」
という事になってしまいました(笑)
でもほんと、このあと行きたかった場所に行けなくてもいいやと思ったほど居心地が良かったのです。
たくさんの作家さんや島の人たち、そして粟島に訪れる観光客のみなさんが気軽に交流できる場所になればと話されるオーナーさんは、人を引き付ける魅力がある素敵な人でした。Instagram / @kazemachiminato
朝から小雨が降り続き、青い海と空が期待できないツイてない日だと思いながら粟島にやってきたのですが、そのおかげで島の人たちといろんなお話ができて、むしろラッキーだったと思います。
晴れた日は晴れなりに、雨が降ってもまた別の魅力を感じることのできる粟島は、来るたびに新しい発見のある魅力的な島でした。
舘さんも同じように感じたそうなので、最後に締めていただきますね。
舘さん「島民の方々との交流で心癒された島時間でした。不思議と時間がゆっくりすぎますね。
粟島では瀬戸内国際芸術祭が秋会期(10月3日~11月9日)に開催されます。次のリフレッシュ先にいかがでしょうか?」
◆今回のフライトログブック
おしまい。