10月3日で開業60周年を迎えた高松国際ホテルにお邪魔してきました。
60周年を記念して庵治石にリニューアルされた入口サインが、ハイクラスなホテルの玄関口をセンス良く飾っています。
本館ロビーには開業から60年にわたる歴史を記したパネルが展示されていました。
東海道新幹線が東京~新大阪間に開通し、東京オリンピックが開催され、日本中が高度経済成長期の真っ只中でイケイケだった1964年(昭和39年)、四国で初めての本格的なホテルとして高松国際ホテルが開業しました。
その当時は「高松の迎賓館」と言われるほどだったそうで、以来、昭和天皇をはじめとする皇族方の宿泊や、当時抜群の人気を誇ったテレビドラマ「西部警察」のロケ地になるなど、多くの歴史を積み重ねてきました。
読者の皆さんの中には高松国際ホテルで結婚式を挙げたとか、家族の節目の行事には必ずここで食事をしていたとか、あるいは初デートがここだったとか… そんな懐かしい思い出の場所である人も多いのではないでしょうか?
ご自身の思い出とともに歴史パネルを眺めてみるのも楽しいかもしれませんね。
苦労を重ね、古き良き時代の味を再現!開業60周年を記念し、開業当時のメニューが期間限定で復活
この日のお目当ては、10月3日から高松国際ホテル本館1階にある「レストラン ぐりる屋島」で販売されている開業60周年を記念した復刻メニューです。
当時のレシピや、40年前から在籍する料理人、総支配人ほか数名の従業員さんが、その豊富な経験と記憶を頼りに試行錯誤しながら開業当時の味を見事に再現されたそう。
当時のメニューも展示されていました。
4つの復刻メニューはそれぞれ期間を設け順番に提供されますが、今回はメディア関係者向けの試食会ということですべてのメニューを試食できましたので、軽く食レポも交えながら紹介したいと思います。
【販売期間 2024年10月3日~11月30日】
当時はレストランのアラカルトメニューとして提供されていたそうで、2種類のカレー粉に、にんにく、生姜、たまねぎ、ケチャップ、はちみつ、チャツネを使用。現代のまろやかで深みのあるカレーとは異なり、辛味を抑えた優しい味わいが特徴とのこと。
このゴロゴロと入った肉の量!
この魔法のランプのようなソースポットに入れられているのも雰囲気ありますよね。子どもの頃、デパートの大食堂で食べたカレーを思い出します。
てか、なにこの味!!
インド人もびっくり! じゃなくて、今回同行してくれたサックス奏者の吉田春乃さんもびっくり!
最近の豊富なスパイスを使った濃厚かつ辛口のカレーと違って、素材のうま味を感じる優しい味。そう言えば子どもの頃に食べたカレーってこういう味だったわ~ なんて懐かしく感じながらいただいたのですが、私の好きな味のど真ん中! ほんと、世の中すべてのカレーが60年前の味に戻ってほしいとさえ思うほど美味しかったです。お肉も柔らかくて最高!
現代のカレーに慣れている春乃さんには、むしろ新鮮な味だったのではないでしょうか。
【販売期間 2024年12月1日~2025年1月31日】
カレーをたっぷり目にいただいたので、ここからは試食程度でいただきます。まずはビーフシチューから。
こちらも当時はレストランのアラカルトメニューとして提供されていたそうで、焼いた牛すじや香味野菜などを1日8時間煮込み、濾す作業を1週間繰り返しじっくり仕上げた、大変手のかかった逸品です。
じっくり煮込まれた牛肉にほっぺが落ちそう! とろける一歩手前の若干歯ごたえを残した絶妙な牛肉は食べてみる価値ありです。食材の旨味をしっかり引き出したコクのあるシチューも、コストや効率なんて考えない、イケイケな時代を感じさせるゴージャスな味でした。
【販売期間 2025年2月1日~3月30日】
こちらも当時はレストランのアラカルトとして提供。鶏肉、たまねぎ、ピーマン、海老といったシンプルな素材を使いながら、ビーフシチューのデミグラスソースをかける斬新さが特徴とのこと。
当時はピラフなんて言葉は一般的ではなかったので、メニューには「小海老又は蟹御飯(アメリカ風)」と書いてあるところが興味深い。
ぷりぷりなエビの食感もいいし、しっかり味の付いたご飯も美味しかったです。デミグラスソースをかけて、ぜひ味変もお楽しみください!
春乃さんはサラダもめっちゃ美味しいとご満悦。聞けばドレッシングは今のものらしいのですが、野菜そのものが美味しいのは研ぎ澄まされた包丁のなせる技でしょうか。皮をむかれたプチトマトや、小技を利かせたキュウリなど、サラダとて手を抜かない料理人のプライドを感じました。
【販売期間 2025年4月1日~5月31日】
当時はレストランのコース料理の一品として提供されていたそうで、鯛やスズキ、海老などの新鮮な魚介類が使われていたとのこと。1990年代にはアラカルトメニューとして提供され、2000年代からは婚礼コースの一品として、特別な日の華やかな演出に貢献したそう。
料理長さんにお聞きすると、あらかじめ魚介類をしっかり煮込んで旨味を引き出し、その後あらためて口に入れていただく魚介類や野菜などに火を通し添えるのだそうです。
道理でしっかり甲殻類の出汁が効いていて、かつ口にする魚介類はしっかり素材感のある美味しさを保っているわけですね。私もどこかのレシピを参考にブイヤベースを作ったことがあるのですが、出汁は美味しかったけど肝心の魚介類は身がパサパサで味も出がらしのようになってしまったのを思い出しました。やっぱり一流の料理人が作ると違うものです。
添えられたガーリックマヨネーズのようなソースと一緒に食べると、思わず「これ、過去イチ美味しいブイヤベースやん!」と口に出してしまったほど。カリカリのガーリックトーストも、それ単体でメニューにしてほしいぐらい美味しかったです。
最後に洋食調理課料理長の唐渡さんにお話をお聞きしました。
唐渡さんいわく、今在職しているスタッフは誰も60年前の味は知らないので、最初は当時のレシピを見ながら味を想像するしかなかったそう。ただ、幸いにもその当時の味を知る元料理長が今も存命で、意見を聞きつつ試行錯誤できたのは良かったそうです。
当時の味を知るお客様には懐かしい味を、当時の思い出とともに味わっていただきたいし、若い方には慣れ親しんでいる現代の味とはちょっと違う60年前の味が逆に新鮮に感じていただけると思います。ぜひ年代を問わず多くの皆さんに復刻メニューを味わっていただきたいとのことです。
今もなお高級感を残し、格の高さでは高松随一と言われる高松国際ホテルの復刻メニューをぜひ味わってみてはいかがでしょうか?
おしまい。
モデル = 吉田春乃 / Twitter @HarunoYoshida
施設名 | 高松国際ホテル レストラン ぐりる屋島 |
所在地 | 高松市木太町2191-1 |
電話番号 | 087-831-1575(直通) |
営業時間 | 朝食:7:00~10:00 昼食:11:30~14:00 夕食:17:00~21:00(ラストオーダー20:00) |
休業日 | 月曜日 |
駐車場 | あり |