実は数年前から噂は聞いていたんですよね。お化けが出るとか出ないとか…
ただ、ガーカガワとしてはあまりネガティブな紹介はやりたくなかったので放置していたのですが、最近ある人から「変な噂もあるけどトンネル自体も面白いよ」と聞いたのでちょっと興味が湧いて立ち寄ってみました。さすがに夜は怖いので昼間にです。
場所は県道38号三木牟礼線の旧道、ちょうど三木町と高松市牟礼町の境になります。1990年に新立石トンネルが開通してからはそちらが本線となり、こちらの立石隧道はほとんど通行がなくなりました。なお、高松市側の集落名から中村トンネルとも呼ばれています。
今回は三木町側から向かいましたが、立石隧道に向かう道は普通車がようやく1台通れるほどの道幅しかなく、対向車が来ないことを祈りつつ、恐る恐る進みました。興味本位で見通しの悪い深夜なんかには行かないことを強くおすすめします。
トンネル近くの森は変な噂さえ耳にしていなければ美しい緑に見えるはずなのですが、心なしかおどろおどろしい雰囲気を感じてしまいます。
トンネルの手前に退避スペースのような場所があったので車を停め、いつでも車を動かせるように同行者を残し、ここからはひとり徒歩で向かいます。すると…
なんだかそれっぽい雰囲気のトンネルが見えてきました。ちなみに怖い噂のあったお地蔵さんは新道として整備された新立石隧道の方へ移動安置されているそうなので、もうお化けの心配はないと自分に言い聞かせます。
そして、照明も点いていない真っ暗なトンネルに一歩足を踏み入れると…
こういう場所には決まってあるよね… 意味不明な落書き。
気を取り直してさらに進むと…
なんじゃこりゃ!
すごっ…
岩盤むき出しの手掘り(素掘り)状態で生々しく残っています。
一説によるとこのトンネルは昭和18年に竣工したそうですが、重機などなかった時代ですからまさに手掘り。その作業量を想像しただけでもゾッとするのですが、時は太平洋戦争の最中、戦争末期には防空壕などが至る所で掘られたことなどを考えると「掘る」という作業は今よりもっと身近なものだったのかもしれません。
それにしても、見れば見るほど見事なものです。この頃にはすっかりお化けが出るとか出ないとかという下世話な話は忘れて、少しずつ削りながら人力で掘り進めたであろうトンネルの壁面に見入ってしまいました。
約120mのトンネルの出口。こちらはこちらで独特の雰囲気でした。
この写真を個人的にSNSにアップしたら「なんか写ってますよ(笑)」とコメントされました。いやいや、冗談で済まんからやめてくれ…
ということで、変な噂のある立石隧道に行ってみたら、実は昭和初期の遺構としても価値のありそうな見ごたえのあるトンネルでした。ちなみに、このあと厄払いでロト6を買ったら末等の1,000円が当たったことを申し添えておきます。
※取材は車両の通行がほぼないであろう平日の午後を選びましたが、立石隧道周辺の道路はかなり道幅が狭く注意が必要です。特にトンネル内は車両の通行があった際には照明がないためかなり危険です。現地に行かれる際は自分の存在が分かるよう懐中電灯を持参するなど、安全には十分に配慮のうえ、なるべく短時間で済ますようにしましょう。