あーーーっ、なんかモヤモヤする!
死にたいほど辛いわけじゃないけれど、人は誰しも、どうにもならないやりきれない気持ちを抱えているものです。
社会に対する漠然とした不安やイライラ、人間関係や仕事、家庭の悩み。個人的には「自分はどう生きて行けばいいのか分からない」といった若い世代の悩みも多く耳にするようになりました。
そんなわけで、特に迷える若者たちに何かヒントになる企画はないかな… なんて考えていたところに、いつもお世話になっている中津万象園の広報さんから「若い女性のお坊さんがいらっしゃるのですが興味ありませんか?」と、まさに仏の声。
どうせならおっさんが小賢しくあれこれインタビューするより若い女性同士でざっくばらんにやった方が面白そうなので、最近よく弊誌ガーカガワに出てくれているモデルであり学生の扇世(みこと)さんを誘ってお邪魔してきました。
まんのう町にある慈泉寺の僧侶・片岡妙晶さんです。
迷える子羊たちよ!
なんでその若さで僧侶になったの? どんな事やってるの? みたいな疑問から、幸せな生き方のヒントみたいな事まで聞いて行こうと思うので、ぜひ読み進めていただけると嬉しいです。(てか、迷える子羊って聖書やし!)
アートの世界から仏教界へ転身。その理由とは?
てか、いきなり楽しそうにガールズトークが始まってるやん!
すでに話の内容についていけなくなったので、ここで簡単に妙晶さんのプロフィールを紹介します。
プロフィール
最近では、ラジオや雑誌、ネットメディアなどでも注目されている、実はちょっとした有名人なのです。
なんだかこのまま放置していると個人的な恋バナとかに行きそうなので、掛け軸が綺麗だからと口実で場所を移動してもらいました。
~ガールズトークの流れから仕切り直し~
妙晶さん「ところで、みことさん今何やっている人なんですか?」
みこと「大学生なんです。」
妙晶さん「頭いいんだ~。私なんてずーっと不登校だったんですよ(笑)」
何が原因という事でもないのですが、集団の中での違和感のようなものをずっと感じていて、それがある時限界に達して不登校になってしまったとの事。小学校5年生から高校を卒業するまでほとんど学校で皆と授業を受けた記憶がないんだそう。
ただ絵を描くことは好きで絵画教室には通っていて、コンクールで受賞された事もあるんだとか。
みこと「それで京都の芸術大学に進学されたんですね。でも、そこからなぜお坊さんなのですか?」
妙晶さん「アートの世界も大好きなのですが、ある時ふと本当に好きなのは作品そのものではなくて、そこに宿る哲学なんだと気づいたんですね。うちの実家は元々お寺だったので、小さい頃見て来た僧侶としての祖父の姿となぜか重なったんです。」
美術家や職人さんはその哲学を作品というモノで表しますが、僧侶は哲学を自分自身に現した職業なんだと思ったそう。
実家のお寺を継がなければいけないという制約はまったくなかったそうですが、小さい頃から身近にあった仏教、あこがれの祖父、なぜか親元を離れて暮らした京都にまで持ってきていたお経の本… きっと自分の中の内なるものが仏教を人生の中心に据える事を望んでいるんだろうなと気づいたんだそうです。
妙晶さん「この時はまだはっきりと僧侶になるという決意をしたわけじゃないけど、とりあえずその世界に身を投じてみようと芸大を辞め僧侶になるための学校に通いました。」
みこと「すごい行動力…」
何事もやってみないと本質は分からないし、自分に合っているのかも知ることができない。頭であれこれ考えても結局は想像でしかないのだから、何でもとりあえずやってみるのもひとつの方法かもしれませんね。
ところで、先ほどから中津万象園の広報さんがそわそわしているので、このあたりでちょっと一服しませんか?
紹介が遅れましたが、今日は中津万象園さんのお茶室をお借りしてインタビューを行っています。毎週日曜日にはお抹茶が味わえるんですよ。(500円)
ちなみに今日のお点前さんも学生さんなんだそう。
後先になりますが、インタビューという名のガールズトークを横でずっと聴かれていて、最後に感想を聞くと、めっちゃロジカルに分かりやすくまとめた感想を言われて一同ビビリました。さすがは理系女子ですね。
僕はお抹茶が苦手なので遠慮させていただきましたが、女子二人はめっちゃ美味しそうでしたよ。
みこと「さっきから気になっていたのですが、髪を緑に染めたりしてめっちゃカッコいいですよね。なんかお坊さんのイメージが変わりました。」
妙晶さん「最初は私も若い女性だから軽く見られてはいけないと思い大人しくしていたのですが、こういうのも自分らしくていいし、ちゃんと僧侶として仕事をすれば誰も何も言わないですよね。」
例えばパンクな服装をしている若者がいたとして、ただイキっているだけだとバカにされますが、一流のロッカーになったら誰も文句は言わないし、逆にパンクな服装がその人のアイコンになりますよね。そういう心意気も必要なのではないかと妙晶さんは言います。
帰りの車の中でみことさんに感想を聞いたら、このくだりが一番心に残ったそうです。堂々としてカッコよかった!
仏教を学び広めていくことで、自分の身をもって哲学を表現したい。
さっきまで降っていた雨がやんで少し涼しくなったので、ちょっと縁側で話しませんか?
この茶室から見る中津万象園の庭園がわりと綺麗なんです。
これ、いつものガーカガワの取材スタイルなのですが、実はインタビューの内容はボイスレコーダーから文字起こしみたいな事はやっていません。自然な会話の中からポイントになる部分だけを抽出して原稿を書いているのですが、実は今回はほとんど会話を拾えていません…
というか、二人ともずっと喋りっぱなし(笑)
みことさんも普段から会話上手な人なのですが、それにしてもよく喋る。きっとお坊さんというか、妙晶さんには否定せずちゃんと聴いてくれるという安心感が漂っているからなのでしょう。聞けば、やはりいろんな悩みを打ち明けられることが多いのだそう。
またしても恋バナとかに流れそうなので、今後の目標みたいなものを聞いてみました。
妙晶さん「お坊さんにはお金持ちになって物質的に豊かになるという意識もないし、何かで偉くなるみたいな概念はないので、今後も仏教を学び広め、その哲学を体現した人生を生きて死んでいくのが理想です。人様を教え導きたいというより、結局は自分の幸せなんですけどね(笑)」
仏になるのが夢ですみたいな話になったらどうしようかと思いましたが、妙晶さんのお話を聞いていると宗教的なアクをあまり感じないから不思議です。もちろん普段からきちんとした法話もされているのですが、仏教というより「生き方」としての話なんだなと感じました。
将来について不安や悩みを感じている若い人たちには、この妙晶さんの僧侶としての生き方は参考になるんじゃないかなと思います。
みこと「今何かやられてたり、今後イベントなどはありますか?」
妙晶さん「今、京都のKamon Inn TOJIで泊まれる絵本展『しょうまさん』が開催されています。また、まんのう町立図書館では毎月第2水曜日に『センパイ!聞いて』を開催中。あと、8月24日には、高松市太田上町のふれあいさろん&ギャラリーさんで『花とことば』も行う予定です。」
他にもさまざまな活動やイベントなども精力的に行っていきたいそうです。
妙晶さんの法話にふれたい、妙晶さんに会いたいという方はぜひチェックされてみてはいかがでしょうか?
僕もいい歳したおっさんですが、いろいろお話を聞いてすっと心に入ってくることがたくさんありましたよ。
おしまい。
片岡妙晶/Twitter(@manohara_mani)
インタビュアー=扇世(みこと)/Instagram(@mkt_ballet)
撮影協力=中津万象園