さすがうどん県というべきか、うどん消費量ではダントツ1位の香川県内に、それを作る小型製麺機の分野で国内トップクラスのシェアを誇る企業があるという。
しかも日本食ブームに乗って、韓国、シンガポール、オランダ、アメリカ(準備中)にも拠点展開し、宇多津町の本社には国際色豊かなスタッフまで活躍しているとのこと。
また、勢いのある会社には人材の確保が急務なのですが、聞くところによると求人募集開始数日で早くも複数の応募があるほど人気な職場だと聞き、その秘密を探るべくさっそく大和製作所さんにお邪魔しました。
なんか、いきなり楽しそうなエントランス!
遊び心が光る!エネルギーに満ちた大和製作所
社内にお邪魔すると、そこかしこに遊び心を感じるディスプレーが目に留まります。
僕も仕事柄いろんな会社さんにお邪魔するのですが、商業施設ならともかく、一般の事業所にここまでのディスプレーはかなり珍しい。
このあたりは社長さんの趣味でしょうか?
すれ違うスタッフさんたちが「こんにちは!」「いらっしゃいませ!」と気さくに声をかけてくれるのも、自由な社風を感じていいなぁ~と思ったし、さりげなく工場を見せていただいた際もスタッフの皆さんはキビキビと働きながらも、やらされ感のような雰囲気はまったくなく、むしろその眼差しはエネルギーに満ちているという印象でした。
聞けば、製麺機は発注者にあわせて半ばオーダーメイドらしく、機械そのものの精度を追求する一方で、部品から自作するクリエイティブさも要求されるようで、発想力が発揮できる職場の環境や遊び心も意識されているのでしょうね。
スタッフの皆さんのチームワークも抜群だそうです!
おおよそ大和製作所さんの職場の雰囲気が分かったところで、実際に働いているスタッフさんに少しインタビューしてみました。
開発部のブイさん
ベトナム出身のブイさんは、普段はうどん、蕎麦、ラーメンなどの製麺機の機械設計をされているとのこと。ベトナムの大学を卒業し、エンジニアとして日本の企業に就職、その後転職し大和製作所さんに勤務されているそう。
ーーベトナムの大学を卒業後日本へやってきたそうですが、日本のどんなところが良かったのでしょう?
ブイさん「子どもの頃から日本の文化や料理が好きで、大学を卒業したら日本で働こうと決めていました。」
ーーそして、最初の会社に就職されたわけですが、その後大和製作所さんに転職された理由を教えてください。
ブイさん「最初の会社でも機械設計の仕事をしていたのですが、友達から大和製作所の事を聞き、麺を作る機械に興味を持ちました。人間関係で悩んでいた事もあり、新しい職場でチャレンジしたいと思いました。」
ーー転職してみて、大和製作所さんはどうですか?
ブイさん「人間関係が本当に良くて、皆さん親切にしてくれます。自分の能力を認めてくれる事が嬉しいし、自分が設計したものが機械として形になると達成感ややりがいを感じます。また、いろんな提案を聞いてくれる環境があるので、新しい事にチャレンジできる事も楽しいです。」
ーー仕事をしながら大変だなと思う事はありますか?
ブイさん「日本に来て最初は言葉で苦労しましたが、日本語がある程度理解できるとそれほど大変だなとは思わなくなりました。設計する上で分からない事があっても、工場併設なのですぐに現物を確認できるのも助かっています。私は英語もできるので、輸出用の機械には各国の規格がありますので、英語の書類を作ったりもしています。」
ーー英語もできるのですか? 英語に日本語にベトナム語に… すごいですね!
ブイさん「いや、ベトナム語は母国語なのですごくないです…」(そりゃそうですね…)
今世界中で日本食、特にラーメンがすごい人気で、大和製作所さんでもその約40%は海外向けなんだそう。そんな事もあって、スタッフさんも国際色豊か。ブイさんのようなベトナム人のほか、ミャンマー、バングラデシュ、スペイン、ロシアなど10名ほどのスタッフさんが外国人なんだそう。
日本(香川)の良い点を聞いたら、まず治安が良くて安心できるところ、それと海の幸が美味しいと感想を話されました。休日などはフットサルをやったり会社の人と一緒に外食も楽しまれているそうです。
ーー最後に、ブイさんから見た大和製作所さんの魅力を教えてください。
ブイさん「やりたい事があれば社長に相談して、良いアイディアならすぐにやらせてもらえる環境がすごくいいです。困った事があっても社長に相談しやすいですし、一番の専門家なので心強いです。社長との距離が近いのもここの魅力だと思います。」
日本に憧れ、夢を持ちながらも、いざ日本で生活し仕事をするとなると大変な事も多いと思います。そんな中でも職場の仲間や社長とうまくコミニュケーションを取り、向上心を持って取り組まれている姿が非常に印象的でした。
今後の目標をお聞きしたら、たくさん新しい機械を作っていきたいと語ってくれました。
製造部の脇さん
入社して15年目の脇さんは、元々は未経験者だったとのこと。職安で「機械の組み立て」という職種を募集しているのを見て、元々うどんが好きだったこともあり興味を覚えて入社したと、その当時を振り返ります。
ーー15年前の事であまり覚えていないかもしれませんが、未経験で入社された当初は苦労されたのではないですか?
脇さん「最初は板金の仕事から経験したのですが、道具なども使いながら覚えました。当時はまだ職人気質が残っていて、先輩の背中を見て覚えろみたいな(笑) でも、今はマニュアルも整備されていますし、先輩がついて教えてくれるので大丈夫ですよ。」
ーー仕事を覚えるのにどのくらいかかりましたか?
脇さん「僕の場合は入社して3年間ぐらいは板金作業に携わっていて、部品を作りながら簡単な組み立て作業をしつつ、少しずつ難易度の高いものを覚えていったという感じですね。いきなり難しい事はできないので、その人の習得度によって段階的にスキルを身に付けるイメージでしょうか。」
ーー先ほど製造部の職場も拝見したのですが、皆さんキビキビと動きながらも黙々と作業をされていました。根を詰めすぎて疲れるという事はありませんか?
脇さん「ずっと黙々とやっているかと言うと案外そうでもなくて、きちんとコミニュケーションを取ったり、たまには雑談なんかも(笑) ゾーンに入るというか、作業に没頭するのも意外と楽しいんですよ。」
ーー技術職という事で特に難しいと思う事はありますか?
脇さん「以前に比べるとマニュアルも整ってはきましたが、それでも細かいところでは経験や感覚がモノをいう部分ですかね…。製麺機はオーダーメイドの部分も多いので、規格品を組み立てるのとは違う難しさがありますが、逆に工夫しながら機械を作り上げる楽しさはありますね。」
ーー仕事が面白くなると欲が出てくると思うのですが、ジョブチェンジなども可能でしょうか?
脇さん「実は僕自身も一時期開発部で設計の仕事もしていました。社長に直談判して配置転換してもらった社員もいますね。その人にもよりますが、頑張ればいろんな仕事をさせてもらえる環境があります。」
ちなみにプライベートな事もお聞きしたら、お休みの日はルアーでブラックバス釣りによく出かけているそう。さらにほじくると、社内恋愛で結婚されて、奥様はベトナム出身なんだそうです。
ーー職場で良い出会いがあったようで大和製作所さんに入ってよかったですね(笑)
脇さん「ほんと、こんな出会いはそうそうないのでラッキーです!(笑)」
ーー最後に脇さんの目標をお聞かせください。
脇さん「なんでもマルチに仕事がこなせるようになりたいです。僕の上司に橋本部長という高い技術力を持った憧れの先輩がいまして、その先輩のようになるのが目標です。」
技術的な事はあまり深く聞いてもよく分からないので、職場の雰囲気みたいなものを知ろうといろいろお聞きしましたが、憧れの先輩がいる、社内結婚をしたなど、意外とこういうところがひとつのバロメーターになると思います。
大和製作所さんにお邪魔した最初の印象は「遊び心があってエネルギッシュ」というものだったのですが、お二人にお話しを聞いて、それを裏付けるやりがいや達成感、そこから生まれる向上心などが伝わってきて、ほんと、いい職場なんだろうなと強く感じました。
もちろん仕事ですから辛い事もあるかもしれませんが、そういったものも含めて仕事の醍醐味を感じられる職場だと思いました。
直売所や工場見学で職場の雰囲気を感じてみるのもおすすめ!
大和製作所さんには併設の直売所もあります。
少しのぞいてみましたが、いろんなうどんなどが販売されていましたよ。
いきなり求人に応募するのが不安な人には、事前に予約いただくと工場見学も可能とのことです。まずは、ちょこっと偵察がてら立ち寄られてもいいかもしれませんね。
大和製作所のみなさん、取材のご協力ありがとうございました。
取材協力 = 株式会社しごとマルシェ