こんにちは。
学生の頃、大阪の蕎麦屋で1年ばかりバイトした事のあるガーハラダです。
香川県民に帰化して約15年、実は黙っていたのですが隠れ蕎麦派。でも、うどん県において本格的なお蕎麦なんて絶滅危惧種ですし、ヘタな茹で蕎麦を食べるくらいなら素直にうどんを食べますので、すっかりお蕎麦とは縁のない生活を送っております。
でも、ごくたまに「お蕎麦食いてぇ~! そば湯すすりてぇ~!」と猛烈に思う事があるんですよね。
そんなわけで、取材にかこつけてこそっと美味しいお蕎麦屋さんはないかとアンテナを張っていたのですが、今回とうとう見つけてしまったので、とっておきのお蕎麦屋さんを紹介しますね!
里山にひっそり佇む本格蕎麦のお店「そば処 財匠」
三豊市の財田支所から東南に曲がり、田園風景の広がる集落の一角に佇む農家のようなお店。近くまで行くと道路の角ごとに案内板とのぼりがあるので目印にはなりますが、ちょっと奥まった場所にあるので道に迷う楽しさもあります。
実はこちらの財匠さんは、よくしゃべりよくしゃべる、美人の名残があるさっちゃんから教えてもらったので、せっかくなので同行してもらいました。
食レポ取材やのに、前日に苦手な珈琲を飲んでしまって胃の調子が悪いとかどんなんやねん!(笑)
少食な僕に向かって「私の分、半分食べてなぁ~」なんて鬼の宣告を受けながらお店の暖簾をくぐると、思ったよりこじんまりとしている。
暖かい季節になればお店の外にあるテーブルで食べるのも気持ち良さそうですが、さすがにこの時期は寒いので店内でいただきます。
手書きのメニューも味があっていいですね~!
おおっ! 十割蕎麦があるじゃないか!
いや、でも「からみ大根のおろしそば」も捨てがたい。十割にするか二八にするか…
迷っていると、お店のご主人が「100円増しになるけど、十割にからみ大根もできるよ」と言うので、目をうるうるさせながらお願いしました。
からみ大根おろしそば(十割)並850円。
待ってました! ざるではなくお皿で出てくるのが新鮮!
まずは蕎麦そのものを味わいたいので、そのまますすってみると、十割なのに二八のようにちゃんとつながっていて滑らかな食感が出てる。でも、ちゃんと蕎麦の風味は残っていて、これぞ十割という魅力も楽しめる贅沢なお蕎麦です。
後述しますが、この秘密は自家栽培の挽きたて蕎麦粉を使うから小麦粉を足さなくてもちゃんとつながるんだそうです。
そして、このからみ大根の刺激的な美味しさと言ったら!
欲張ると舌がしびれますよ(笑)
少しずつ好みに合わせて量を調節しながらからみ大根と一緒にいただくと、蕎麦の味が引き締まったようで癖になる。何度かおろしたての本わさびでお蕎麦をいただいた事があるのですが、個人的にはからみ大根の方が美味しかったのが発見でした。僕的には香川で一番美味しいお蕎麦かも!
さっちゃんは、かけそば(並700円)。
胃の調子が悪いさっちゃんからの宣告どおり半分いただきましたが、きしめんのような平たい麺が印象的。蕎麦本来の風味を味わいたいならこの太麺というチョイスもアリですね。お出汁も優しい味でした。
手作り一味で召し上がれ!
話しは前後しますが、お蕎麦が出来あがるのを待つ間、野菜のお惣菜もいただきました。
季節のやさい(150円)。
畑で採れた旬の野菜を少しずつ4種類。どれも薄味の素朴な美味しさで、こういう味がほっとするんですよね。
ほっとすると言えば、最初に出てきたそば茶は、これだけでお金を取ってもいいくらい。
大豆のしょうゆ豆も歯ごたえがあって美味しかったです。
そして最後は、本格的なお蕎麦屋さんでしか楽しめない「そば湯」を堪能。財匠さんのそば湯は別で作っているんだそう。
本来のゆで汁じゃなくて、わざわざ作っているから出せるこのとろみ。蕎麦の風味がたっぷりでした。
自ら栽培から行うこだわり蕎麦のきっかけは、自身の健康を考えたのがはじまり
美味しいお蕎麦をたっぷり堪能したところで、お店のご主人に少しお話をお聞きしました。
こだわりのお蕎麦屋さんは全国各地にあると思うのですが、蕎麦そのものから自家栽培するなんてあまり聞かないですよね。商売として考えたらあまりにも効率が悪い。きっとなにかこだわる秘密があるに違いないとお聞きしたら、そもそものきっかけはご自身の健康のためだったんだそう。
ある時、人間ドッグ受診の結果、血糖値が高く、このままでは糖尿病になると言われ、漢方などを勉強されたそう。その過程で、蕎麦に含まれるルチンが動脈硬化や高血圧、糖尿病などの予防に効果があると知り、その後、旅行に行くたびに各地の蕎麦を食べ歩き、蕎麦の味や風味を研究されたそうです。
※お店の前の畑で実を着ける蕎麦。
最初は自身の健康のために趣味で始めた蕎麦なので、そもそもが利益なんて考えていない。何かにこだわりだすと、とことんやりたくなるのが人情ですが、そば栽培は無農薬なので試行錯誤の連続。そのうち少しずつ納得のできる蕎麦が打てるようになって親しい人たちに食べてもらうと、これが思いのほか好評、蕎麦打ち教室などを経てお店をオープンさせたんだそうです。
蕎麦粉はその日使う物だけを石臼で挽いて、もちろん手打ち。
つなぎとして小麦粉を使わない十割でもしっかり滑らかな麺にになっているのは挽きたてを使っているから。粉末になって乾燥してしまう前に打つからなのかもしれませんね。
収穫し脱穀した蕎麦の実は無酸素状態で保冷保存したり、石抜きや磨き、皮むきなどの製造過程などのお話しを聞き、確かにこれは蕎麦が好きじゃないとここまでやれないわ… と思いました。
ちょっとうちからは遠いのですが、このお蕎麦の味はきっと定期的に思い出すと思います。「ああ、旨い蕎麦が食いてぇ~」となったら、また立ち寄りたいと思います。
おしまい。
店名 | そば処 財匠 |
所在地 | 三豊市財田町財田上1557 |
電話番号 | 0875-67-2530 |
営業時間 | 11:00~14:00 |
休業日 | 月・火・水曜日 ※祝日の場合も休み |
駐車場 | あり |