去る1月29日、高松市通町にあるニューグランデみまつにて、囲碁のイベント「囲碁さわぎ」が開催されました。
本イベントは日本棋院香川支部が主催するもので、今回で5回目を数えます。毎回プロ棋士を呼び、午前は子どもたち、午後は年齢制限なしで、県内のアマチュア棋士たちと交流することで香川の囲碁界を盛り上げようというものです。
そして、今回ゲストとして招かれたのが日本棋院関西総本部所属のプロ棋士・安田明夏(やすだあきか、初段)さん。
中学2年生からの関西総本部院生を経て、2021年4月にプロ棋士となる。プロ棋士としての対局のほか、NHKの番組「囲碁フォーカス」の進行役にも抜擢される期待の若手です。
事前のインタビューをまとめると、幼少の頃、囲碁のアマチュア高段者の祖父の影響で囲碁に興味を持ち、中学2年生の時に囲碁の全国大会で入賞。そのことをきっかけに、プロ棋士になろうと決意されたそうです。イベントに向けては、特に子どもたちに囲碁の楽しさや魅力を伝えていきたいと意気込みを語っていただきました。
子どもたちと囲碁さわぎ!会場は笑顔で包まれる
そして、いよいよ子どもたちが参加する午前の部が始まりました。安田さんが紹介されると、子どもたちからはどよめきと拍手が! 早くも盛り上がりを見せているようです。
「安田明夏初段と囲碁さわぎ」の午前の部は、本来の19路盤に対して初心者向けの13路盤を使ったミニ囲碁大会。そして、安田さんから直接囲碁の手ほどきを受ける指導碁という二本立てで行われます。
指導碁の準備をしていると、いきなりおチビちゃんが乱入! 安田さんも準備の手を休めて、目を細めながらしばらく遊んでいました(笑)
そしてミニ囲碁大会が始まると、今までの喧騒から水を打ったように静かになり、皆真剣に碁盤に向き合っています。
いつも思うのですが、囲碁を嗜む子どもたちはオンオフの切り替えが見事。先ほどまでわちゃわちゃしていた子たちが一瞬で集中力を発揮する姿を見ると、囲碁を打つことで単純なゲームとしての勝ち負け以外にもいろいろ身に付くこともあるんだなと感心してしまいます。
安田さんによる指導碁も始まりました。
プロ棋士相手ということで子どもたちもちょっと緊張気味? でも、頭の回転が速いのか、次々と碁盤が埋まっていきます。
安田さんも時折笑顔を交えながら優しく指導されています。
なんだか本部席の方で盛り上がっているのでのぞいてみると、ミニ囲碁大会の途中経過が気になる子どもたちが集まっていました。やっぱり、自分の成績は気になるんですね~。
そして気が付けばこちらも人だかり。自分の対局が終わった子たちが興味津々に指導碁の様子を眺めています。
「それ、あそこに打ったらええんちゃうん?」みたいなことは小声で。まれにはっちゃける子もいますが、皆お行儀よく、マナーもちゃんとできていました。
もちろん遊び盛りなので、遊んでいいときはこんな様子(笑)
お兄ちゃん、お姉ちゃんたちの姿を見て、囲碁に興味を持つおチビちゃんも多いんだとか。将来が楽しみですね。
ミニ囲碁大会が終わったところで表彰式。そして、最後は安田明夏初段への質問コーナーで午前の部は終了しました。
質問コーナーはでは斜め上な質問も期待したのですが、「どうやったら囲碁がうまくなりますか?」「試合で緊張しないためにはどうしたらいいですか?」という子どもらしい質問が飛び交いました。
最後に、安田明夏さんと、日本棋院香川県本部の事務局長である石田さんにお話をお聞きしました。
ーーまずは、イベントを終えた感想をひと言お願いします。
安田さん「みんな元気が良くて楽しかったです(笑) 囲碁もみんな強くてびっくりしました!」
ーー元気でわちゃわちゃする子もいたと思いますが、そのあたりの対応は大丈夫でしたか?(笑)
安田さん「はい(笑) みんなかわいいです(笑)」
ーー安田さんが考える囲碁の魅力とはどういったところですか?
安田さん「そうですね… 囲碁自体も楽しいのですが、それ以上に子どもからお年寄りまでいろんな世代の人と一緒に打つことができるので、それが一番魅力を感じますね。」
ーー石田さんにお聞きします。今回で5回目ということなのですが、子どもたちに何か変化はありましたか?
石田さん「これまでは大人が子どもたちに教える一方通行だったのが、最近では子どもたち自ら『こういうことをやっている』と友達や家族に話してくれたり、友達を誘って教室に来てくれたり、囲碁の楽しさを知ることで自主性が出てきたことが嬉しいです。もっとたくさん子どもたちが囲碁を楽しめる環境を整えたいですね。」
ーー最後に、このページを見てくれている子どもたちにひと言お願いします。
安田さん「気楽に囲碁を楽しんで、そして友達と遊びに行く感覚で囲碁教室にも来てもらえると嬉しいなと思います。」
聞けば、香川県は全国でも屈指の囲碁が盛んな地域なんだそうです。今回のようなイベントのほか、囲碁教室や初心者向けの講座など、子ども向けの環境も他県より整っているので、気軽に囲碁をはじめる子どもも多いんだとか。
囲碁を打つことで論理的思考が身に付くという直接的なメリットもありますが、少子化や核家族化が進む中で、いろんな世代と接することができる囲碁は、子どもたちにとっても良い経験になるのではないでしょうか?
おしまい。
※囲碁を始めたいと思われたお子さんは、高松木太囲碁スクール(Twitter @takamatsukita15)へお問い合わせくださいとのことです。