偏差値の高い高校や大学に進学するためには、もはや学習塾に通うのは当たり前。同様に、本気で甲子園やプロ野球選手を目指すなら、しっかりとした野球塾に通うという選択もあってもいいのでは?
という事で、今回は高松市木太町にある野球塾「LTS野球教室」に潜入してきました。
今春のセンバツにも同教室出身者が3名出場予定!スペシャリストが指導する野球教室とは
かつては野球王国と言われ、甲子園でも栄光の歴史を刻んだ香川県。高校野球草創期の高松商業の活躍は言うに及ばず、当時はまだ関西に住んでいた僕でさえ、志度商の甲子園ベスト8や、観音寺中央のセンバツ初出場初優勝などには心を躍らせたものです。
私学の躍進もあって、近年ではなかなか香川県勢が活躍する姿が見られなくなったのですが、それでも香川の野球熱の高さは他の四国3県とともに群を抜いていると思います。
昔は地元の贔屓高が甲子園で四国の高校に当たった時には勝てる気がしなかったな… なんて事を思い出しながら現地にお邪魔すると、すでに子どもたちのアップが始まっていました。
屋内練習場の壁には大きな横断幕が!
「小さな努力が、かならず大きな輝きに。」
LTS野球教室の「LTS」とは、Lead To Success(成功につながる)の頭文字を取ったそうですが、逆説的に言うと成功者に天才はほぼいないので、小さな努力をバカにせず、真摯に向き合う事を忘れないために掲げているのでしょう。いい言葉やなぁ~。
カメラを構えると目ざとく見つけてくれて、元気で気持ちの良い挨拶を送ってくれる。こういうところは、今も昔も変わらない日本のスポーツ文化の良いところ。
「(記事は)1万人ぐらい見られるかもしれないけど顔出しがいやだなぁ~って人いる?」って聞くと逆におどける子もいたりして、雰囲気もとっても良さそうです。
あまり練習の邪魔をしてもいけないので続けてもらうと、守備練習が始まった途端、みんな一気に真剣な表情に変わります。
今回は中学生のクラスだそうですが、飛び級で小学校高学年の児童も混じっているとのこと。よく観察すると、ひとりひとりの技量に応じてコーチが球の強弱や方向などをコントロールしているようです。
また、時折子どもたちを集めて、細かい技術指導も行っているようでした。
捕球の後のスローインも様になってる!
子どもたちはそれぞれスポーツ少年団や学校の野球部に籍を置いている子が大半。通常の練習を終えてからこちらにやってくるので、もしかしたらハードワークになるのでは?とも思いましたが、実際に練習を見ていると体にムチ打つ昔のスポコン物の練習とはまったくイメージが違います。
どちらかというとテクニカルな部分に比重を置いているのでしょうか。部活の練習もたっぷりやっているでしょうし、考えてみると、こういうやり方がベターなんだろうなと勝手に分析しております。
それは、バッティング練習でも感じました。
僕が子どもの頃は、野球と言えばスイングや投球フォームには正しい型があって、変な打ち方や投げ方をしていると怒られたものでした。でも、バットの構えひとつを取っても結構みんな個性的なんですよね。
そのあたりをコーチに聞くと、型も大事だけど、今はその子の個性をうまく引き出して伸ばすというやり方が主流なんだとか。なるほど、その方がやっている本人も楽しいし、楽しいとさらに上達しますよね。
子どもたちも守備練習と同様、一球一球何かを確かめるように、あるいは何かを考えながら向き合っているのが印象的でした。
聞けば同教室の卒業生から今春のセンバツ甲子園に3名出場予定なんだそうですが、野球の英才教育の一端をのぞいたようで少し興奮しました。
香川から世界へ!最新の野球理論に基づく個別指導で香川の野球を盛り上げたい。
まだまだバッティング練習は続いていますが、邪魔にならない程度にコーチの山本さんにお話しをお聞きしました。
三本松高校から香川オリーブガイナーズへ。引退後は、かねてからの希望であった子どもたちの野球育成に尽力したいと福岡へ渡る。プロ野球OBが開く野球塾でコーチを務めながらプロの野球を学び、指導者の道へ。
近年では豊富なコネクションを生かし、米大リーグや独立リーグにも視野を広げ、世界最先端のトップ技術を学び子ども達に伝えている。
ーー練習を拝見していて、それぞれの個性を重視しながらも子どもたちに的確に指示を出しているように見えましたが、やはり目指すところは甲子園やプロ野球に進む子どもたちの育成なのでしょうか?
山本さん「もちろん目標のひとつとしては、まずは高校でレギュラーになり、甲子園を目指す。果てはプロや大リーガーという夢は持っていますが、それよりもまず、子どもたちに野球の楽しさを知ってもらって、香川の野球を盛り上げたいという想いがありますね。」
という話をされながらも、すかさず子どもたちに的確な指導が入ります。
ーー指導を受ける子どもたちも真剣に聞き入っていますが、やはり的を得ているからなんでしょうね。昔に比べて指導方法なども随分変わったんでしょうね。
山本さん「僕もまだまだ勉強中なのですが、やはり最先端の野球の流れは常にアンテナを張っています。子どもたちには、野球の楽しさとともに、正しい技術を身に付けてもらいたいですよね。」
ーー野球の技術もそうですが、思いやりや礼儀など、野球を通じた人間形成の役割もありそうですね。
山本さん「僕がびっくりしたのは、よく見ていてください… あれです! 子どもたちが譲り合っているの見ましたか? あんなの教えてないんですよ(笑)」
交代でバッティングマシーンを使った打撃練習を行っているのですが、その交代の際には、先輩後輩の垣根無く先にネットに近付いた子がネットを上げてあげるという譲り合いがどの子もできていました。
また、よく見ると、練習のちょっとした合間に子ども同士で声を掛け合って、アドバイスのやりとりなんかもしているようです。
山本さん「人としてのコミニュケーション能力も養えるように子どもたちの声かけも徹底し、会話の大切さも教えていますが、野球の技術以外にも多くの事を身に付けてくれているようで嬉しいですね。」
子どもたちに「山本コーチどう? 厳しい?」と聞いたら「厳しいです(笑)」と即答されて山本さんも苦笑いでしたが、とは言え、本人を目の前にして「厳しいです」と言えるあたり、厳しいながらもイジり合える雰囲気もあるんだなと思いました。
それは練習を見守る保護者さんにも言えていて、こちらに通うようになってお子さんうまくなりましたか?と聞くと、山本さんがさりげなく聞き耳立ててるのを察知して「うまくなったような気がする(笑)」と、半分冗談で答えるあたり、良いコミニュケーションを取っているんだなと感じます。
ーー野球人口もどんどん減ってきているという事も耳にしました。かつて野球王国と言われた香川の野球を盛り上げるためにぜひ頑張ってください!
山本さん「ありがとうございます。あっ、これは絶対入れておいてください!『香川から世界へ!』(笑)」
はい、しっかりと書かせていただきました(笑)
香川県出身で野球殿堂入りした野球選手は多くいますが、僕の記憶が確かなら、米大リーグでメジャー契約をした選手はまだ出てない(マイナー契約はいたような…、間違っていたらすみません)と思います。どんどん香川の野球が盛り上がって、香川から世界へ羽ばたくプロ野球選手が出てくるといいですね!
もっとしっかり野球と向き合いたい小中学生諸君! まずは、ちょこっと見学してみてはいかがでしょうか?
小さな努力が大切です(笑)